2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pathophysiological investigation of cytokines and chemokines playing a role in the mechanism of developing brain edema
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18K17417
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
尾崎 充宣 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00760521)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水中毒 / アクアポリン1 / 脈絡叢 / 免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
水中毒は細胞内に水分の異常な貯留を引き起こし脳浮腫などの致命的な合併症の原因となる。本研究は最終的には水中毒におけるサイトカイン・ケモカインを指標とする分子法医診断基準の確立を目指すこととしている。そこで基礎実験として、まず水中毒モデルを各種Knock-outマウスで作成することにより、水中毒による脳浮腫の発生に密接に関連するサイトカイン・ケモカインを同定、解明することを目指した。マウスの体重の19%(0.4μg/kgのバソプレッシンを含む)の水をマウスの腹腔内に注入することで水中毒、脳浮腫モデルを作成した。CX3CR1ノックアウトマウスとIFN-γノックアウトマウスはいずれも野生型マウスに比べて、2時間後の死亡率は有意に高いという結果を示し、IFN-γとCX3CR1を介したシグナルが保護的に機能することが明らかになった。2018年度、2019年度はRT-PCRを中心に遺伝子発現について、最終年度は特に免疫染色法を用いて脈絡叢におけるaquaporin1と4の発現に注目して実験を行った。水中毒モデルではコントロール群と比べて脈絡叢においてaquaporin1の遺伝子、タンパクともに発現が亢進しており、脳浮腫に対して脈絡叢が水の排出を促進して保護的に機能している可能性が示唆された。しかしながら、ノックアウトマウスと野生型マウスの比較ではaquaporin1の遺伝子、タンパク双方の発現において優位な差を認めなかったことから、脈絡叢におけるaquaporin1の発現では死亡率の差を説明できないことが分かった。RT-PCR、免疫染色の結果からIFN-γおよびCX3CR1の水中毒病態形成における意義については明らかにできていないが、フェノタイプの相違は著明であることから、今後も継続して死亡率の差を説明できる分子機構を探っていく予定である。
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