2020 Fiscal Year Research-status Report
日本人集団のY-STRとY染色体ハプログループを組み合わせたDNA多型構造の研究
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18K17423
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
綿引 晴彦 科学警察研究所, 附属鑑定所, 研究員 (00760901)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Y染色体STR / Y染色体ハプログループ |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、日本人集団におけるY染色体ハプログループの分類では、1座位をターゲットとしたサンガー法による塩基配列解析や、複数座位をターゲットとしたマルチプレックスPCRによる一塩基伸長法といった手法が多く用いられていた。近年、ハプログループをより細かく分類する方法として次世代シーケンサーを用いた手法が新たに報告されたことから、本研究では同手法を用いたハプログループの分類を行うことにした。本年度は、次世代シーケンサーを用いた実験を行い、日本人男性由来DNAのY染色体を24種類のハプログループに分類することができた。 日本人集団に特徴的なハプログループの一つであるD-M57(D1a2a)において、Yfiler Plusキットを用いたY-STR型検査におけるDYS533のピークが低い試料が3例観察された。それらの試料におけるDYS533のフランキング領域の塩基配列を解析したところ、共通する一塩基置換が観察され、この変異がピーク高低下の原因となっている可能性が示唆された。この研究成果についてまとめた論文を日本法科学技術学会誌に投稿し、査読を経て受理された。 前年度に投稿したハプログループ間のDYF387S1コピー数の違いに関する論文が、査読を経て国際誌Forensic Science International: Geneticsに受理された。同論文は第28回JP生きがい振興財団警察研究論文奨励賞優秀賞に選ばれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は次世代シーケンサーの活用によって、従来法よりも日本人集団のY染色体ハプログループを細分化することができた。しかし、感染症対策を目的とした勤務形態の変更によって実験室を利用できる日数が減少したため、処理した試料数は限定的となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーを用いたY染色体ハプログループの分類を、より多くの試料について行う。その後、ハプログループとY-STRハプロタイプを組み合わせた解析を行い、両者の情報をY-STR型検査で活用する方法について検討する。
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Causes of Carryover |
感染症対策のために本年度に実施できなかった実験を次年度に実施することにしたため、次年度使用額が生じた。実験に必要な消耗品の購入のために使用する予定である。
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