2018 Fiscal Year Research-status Report
透析患者心臓関連死における大動脈弁と刺激伝導系の組織学的意義の構築
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18K17424
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
岸田 真嗣 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (60738855)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大動脈弁 / 刺激伝導系 / 透析 / 心臓関連死 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定では、平成30年度に大動脈弁研究の倫理審査申請と研究の実施、平成31年度に刺激伝導系研究の倫理審査申請と研究実施の予定であった。その後、改めて研究グループ内で研究計画を再検討した結果、大動脈弁と刺激伝導系の評価に関して同時に倫理審査申請を行い、病理組織学的検討を同時に実施する方向に変更となった。平成30年度は上記のとおり研究計画の変更、研究計画書の作成、研究倫理審査申請を実施し、対象症例の選定を行った。研究計画の概要は下記のとおりである。 高齢化した透析患者の増加に伴い、大動脈弁狭窄症、致死性不整脈の割合が増加し、法医学において、重要な問題になりつつある。透析患者は心臓関連死の発症頻度が高く、その原因として弁膜症、致死性不整脈、虚血性心疾患、心不全、カリウム濃度異常などが挙げられるが、透析患者の心臓突然死における組織学的検討は不十分である。本研究の目的は透析患者の心臓突然死の主要な原因とされる大動脈弁狭窄症及び刺激伝導系について組織学的検討を行い、心臓突然死の組織学的機序の研究基盤を確立することである。 大動脈弁については、① 大動脈弁の組織所見の評価を行う。炎症細胞浸潤、血管新生、石灰沈着、コレステロール沈着、線維化を中心に検討する。② 非慢性腎臓病大動脈弁狭窄症症例と比較検討する。③ 心エコー所見、採血所見、併存疾患などの臨床検査項目を収集する。④ 大動脈弁組織所見と臨床検査項目を比較解析する。 刺激伝導系については、① 透析患者剖検症例における刺激伝導系の組織所見の評価を行う。線維化、炎症細胞浸潤、プルキンエ線維の空胞変性を中心に検討する。② 非慢性腎臓病剖検症例と比較検討する。③ 電気生理検査、心エコー所見、採血所見、併存疾患などの臨床検査項目を収集する。④刺激伝導系組織所見と臨床検査項目を比較解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度と平成31年度の各年度において、別々の研究計画書作成、研究倫理審査申請、研究実施を予定していたが、一括した研究計画書の作成により研究を実施する方がより効率的であり、研究期間内での完遂が可能であるとの結論に達したため、平成30年度は研究計画の詳細決定と倫理審査申請を行うこととなつた。平成31年は研究倫理審査委員会の承認を得た研究計画書に基づき研究を実施する。計画書作成時に大動脈弁の病理組織所見に関しては既に完成された報告書があることが明らかであり、平成31年度は当初予定されていた刺激伝導系の組織学的評価を実施することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究倫理審査委員会の承認を得た研究計画書に基づき、大動脈弁の組織学的検討として炎症細胞浸潤、血管新生、石灰沈着、コレステロール沈着、線維化について半定量スコア化を実施し、維持透析患者と非慢性腎臓病大動脈弁狭窄症患者との比較検討を実施する。さらに心エコー図所見、血液データ等臨床検査項目(推定糸球体濾過率、尿素窒素、クレアチニン、総蛋白、アルブミン、ヘモグロビン、ヘマトクリット、HbA1c、グリコアルブミン、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、カルシウム、リン、intact PTH、CRP、BNP、ANP等)のデータを収集し、大動脈弁組織所見との関連性を評価する。 刺激伝導系の組織学的検討として炎症細胞浸潤、線維化、プルキンエ線維空胞変性について半定量スコア化を実施し、維持透析患者と非慢性腎臓病剖検症例との比較検討を実施する。さらに電気生理検査、心エコー図所見、血液データ等臨床検査項目(推定糸球体濾過率、尿素窒素、クレアチニン、総蛋白、アルブミン、ヘモグロビン、ヘマトクリット、HbA1c、グリコアルブミン、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、カリウム、カルシウム、リン、intact PTH、CRP、BNP、ANP等)のデータを収集し、刺激伝導系組織所見との関連性を評価する。
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Causes of Carryover |
計画書作成時に大動脈弁の病理組織所見に関しては既に完成された報告書があることが明らかとなったため、大動脈弁と刺激伝導系の評価に関して同時に倫理審査申請を行い、病理組織学的検討を同時に実施する方向に変更となった。平成30年度は研究計画の変更、研究計画書の作成、研究倫理審査申請を実施し、対象症例の選定を行った。 平成31年度には大動脈弁と刺激伝導系の組織学的検討を行う。主に研究補助員の人件費、組織評価用試薬代に助成金を使用する予定である。
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