2019 Fiscal Year Research-status Report
急性期病院の転倒ハイリスク患者の離床行動を予測する非接触型見守りシステムの開発
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18K17428
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮本 まゆみ 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (80551746)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 入院患者 / 転倒予防 / 夜間 / 離床 / 行動 / 定量化 / システム |
Outline of Annual Research Achievements |
人の動きを定量化するシステムを用いて、ベッドからの離床につながる動きの検出を試みた。今回は、人物を認識することにとらわれず、寝具で覆われた状態であっても、人の動きが検出できるようにプログラムを変更したシステムを用いた。研究者間で試行したのちに、健康な人を対象に予備試験を実施した。 研究者間で行った実験では、寝返り、起き上がり、離床など、各動作でどのくらいの動作量になるかを確認した。そして、離床行動として検知する動作量の基準値を設定した。その後、健康な青年13名に予備試験を実施し、離床検出率の算出、離床以外の動作が誤検出された件数を確認した。さらに、離床以外の動作量を抽出して、ベッド上での動きとその動作量について検討した。 予備試験の結果、103回の離床行動のうち100回が離床として検出され(検出率97.1%)、高い検出率であることが確認された。離床以外の動作が離床として誤検出されたのは1件であった。離床以外の動作量をみたところ、頭部、上肢、下肢といった身体の一部の動きについては、動作量は小さく、離床検出の基準値との差は大きかった。一方、寝返りやベッド上で座位になるような全身の動きを伴う場合は、寝具も一緒に動くため、動作量としては大きな数値になることが確認できた。しかし、起き上がりや布団を整えるといった動作のうち、ほとんどの動作については、離床検出の基準値に達することはなかった。離床以外の動きで検出された1件の動作については、寝具が大きく動いたところを捉えたものであった。 今回、本システムを用いた予備試験では、寝具で覆われた人の動きを定量化して捉えることができ、離床行動を概ね検出することができたといえる。今後は、入院患者を対象とした研究を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベッド上の人の動きを定量化するシステムができたこと、健康な青年を対象に予備試験を実施し、離床行動の検出基準値が確認できたことから、当初の計画通りおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、入院患者を対象に、夜間のベッド上動作の定量化、および離床行動の検出を行う予定である。最初の数名のデータを見て、患者の離床の検出基準を見直しつつ、臨床での研究を行っていく。しかし、新型コロナウイルスにより、医療機関での研究実施が困難となる可能性がある。研究協力機関での研究実施許可が得られ次第、患者を対象とした研究を実施するが、もし実施できなかった場合は研究期間の延長を検討する。
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Causes of Carryover |
年度末の2月及び3月は、すべて実験データの整理に係る人件費に当てていたため、一人当たりの時間給未満の金額が端数となって出てしまった。しかし、本研究の遂行には全く支障はない。今回生じた差額は、次年度のデータ整理に係る人件費の一部に当てる予定である。
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