2018 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症の発達特性を有する看護大学生への教育・支援体制に関する調査研究
Project/Area Number |
18K17429
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
大熊 恵子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (40284715)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 看護系大学 / 大学生 / 合理的配慮 / 学生支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(以下、ASD)の発達特性をもつ看護大学生に対し、大学としてどのような学生支援・教育をしているのか、その上で、どのような合理的配慮がなされているのか、現状を明らかにし、ASDの発達特性をもつ看護大学生に対する大学での支援体制づくり・システム化への示唆を得ることである。 平成30年度は、ASDの発達特性を有する看護大学生に対し、大学での学生支援や教育内容・合理的配慮内容を明らかにすることを目的に、学会参加・文献検索による情報収集ならびに専門家からのヒアリングを行った。 その結果、ASDの特性を有する看護大学生への支援では、教員が短期間で結果を求めず、4年間というスパンでライフスキルを身につけるという長期的な視点でかかわることが重要であることが示唆された。そのためにも、大学教員に対して、ASDの特性に関する理解やかかわりに関するFDを行うことが必要である。一方、学生自身・家族がASDの特性があることを自覚できず、家族調整に困難をかかえるケースも増えている状況もあった。また、近年は「合理的配慮」という表現が事務的に聞こえるという指摘もあり、最近は「教育上の調整」と表現することも増えてきたとのことであった。よって、学生と大学の双方が対話をしながら調整をしていくことの重要性も示唆されていることもわかった。 本研究では、全国の看護系大学にアンケート調査を行うことを計画していたが、以前同様の調査を行った専門家は、回収率が30%前後と大変低く、内容的にも答えにくいことが原因ではないかと考察していた。この提言を受け、本研究においては、アンケート調査ではなく、インタビュー調査を中心に情報収集を行うことが望ましいと考え、来年度は、先駆的な取り組みを行っている大学へのインタビュー調査を行うことを目的としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、ASDの発達特性を有する看護大学生に対し、大学として提供している学生支援や教育内容・合理的配慮を明らかにすることを目的に、学会参加・文献検索による情報収集ならびに専門家からのヒアリングを行い、当初の予定通りに進捗していると考えている。計画当初は看護系大学への質問紙調査も予定していたが、専門家へのリアリングにより回収率が低いことが想定されるとの指摘をいただき、保留とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、障害学生支援室等でASDの発達特性を有する看護大学生にどのような支援や教育を行っているのか、先駆的な取り組みをしている国内外の大学でインタビュー調査を行う。また、看護大学は大規模な大学ばかりではなく、小規模(単科)大学として設置されている場合も多いことから、単科大学での取り組みに関するインタビュー調査も行う。 インタビュー調査からASDの発達特性を有する看護大学生に必要な大学の支援体制、システム化について、分析、考察を行う。
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Causes of Carryover |
今年度、国内の先駆的な取り組みを行っている大学の視察を予定していたが、大学の選定と連絡調整をすることが難しく、来年度に延期せざるを得なくなったため、旅費の支出が予定よりも下回った。また、研究方法として質問紙調査を予定していたが、面接調査のみに絞ることにしたことも支出が下回った要因として挙げられる。来年度は大学の視察調査ならびに面接調査を行う予定である。
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