2019 Fiscal Year Research-status Report
食事摂取を促すことを目的とした、食前に実施する手浴の効果の検証
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18K17431
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
菅原 啓太 三重県立看護大学, 看護学部, 助教 (60733615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 手浴 / 食事ケア / 看護技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の実験は、40℃の温湯に10分間浸漬するという手浴方法を用いた。しかし、10分間姿勢を保持すること自体が被験者のストレスとなることが明らかとなり、手浴方法の再検討が必要となった。 今年度はまず手浴方法を見直し、40℃の温湯に両手の手首までを一度浸漬したのち石鹸で洗浄し、再度浸漬したのちタオルで水分を拭き取ってもらう方法(1分~1分30秒)を採用した。手浴は被験者に行ってもらい、浸漬時間や手を擦る回数は厳密に統制しなかった。 次に、食事摂取を促すケアとして、手浴が活用できるかを検討するために、手浴が生体に及ぼす効果を、自律神経活動、心拍数、血圧の指標を用いて明らかにした。実験への協力が得られた健常な男性19名(21.9±3.6歳)を被験者とし、実験群(11名)と対照群(8名)に振り分け準実験研究を行った。実験は、人工気候室(温度24℃、湿度50%)で10時から14時に行った。実験群は手浴を実施し、対照群には石鹸を使わず、空のベースンを用いて手浴と同じ動作を行ってもらった。自律神経活動の指標は、測定開始時点で個人差が存在したため、手浴後の値は、手浴前の値からの変化量で表した。 その結果、交感神経活動の変化量(mean± SE)は、実験群は、手浴後-6.9±9.2%であり手浴前後で有意差はなく、対照群は、手浴後74.7±32.5%であり手浴後に有意に増加した。手浴後の変化量は、実験群より対照群が有意に大きかった。副交感神経活動の変化量は、実験群は、手浴後38.6±20.9%であり増加傾向を示したが、手浴前後で有意差はなく、対照群も、手浴後8.3±15.2%であり手浴前後で有意差はなかった。また変化量は実験群と対照群で有意差はなかった。これらから、交換神経活動の亢進によって消化管の運動および分泌機能が抑えられることを防止するケアとして、手浴を活用できる可能性が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食事摂取を促すケアとして活用する手浴方法の再検討および、その方法を用いて、手浴が生体に及ぼす効果を明らかにすることで、今後の介入研究に用いる手浴方法を確定することができたため、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、看護系学会へ投稿中であり、研究成果を広く公開していく予定である。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、病院や施設での介入研究が難しい状況である。そのため、本年度用いた手浴方法の有効性を、より多くの指標から検討するため、さらなる基礎研究を実施予定である。また、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた段階で、施設入所者もしくは入院患者を対象とした、介入研究が実施できるよう、準備を進めている。
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Causes of Carryover |
初年度に前倒し請求を行ったため、残額が発生した。残額は当初の計画通り、次年度の経費とし、研究を遂行していく。
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