2021 Fiscal Year Research-status Report
看護学実習において学生が経験した「患者中心」の看護と教員の学生理解に関する研究
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18K17436
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福井 里佳 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 准教授 (00282210)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護学実習 / 患者理解 / 患者中心 / 看護学生 / 実習教育 / 学生理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護基礎教育において、学生が看護実践能力の基礎を培うためには、看護技術教育だけでなく、人間に関心を寄せて看護観を深め、患者に関心をもってかかわりながら、学生自身の見方や考え方を「患者中心」へと移行していく臨地実習での学習経験が重要である。 本研究の目的は、看護学実習(以下、実習)において、看護系大学学生が、学生中心の視点や考え方から「患者中心」へどのようにシフトしていくのかを明らかにすることである。 これまで、研究の第一段階として、実習における学生の患者理解に焦点をあてた文献検討を行い、さらに2021年度は、看護基礎教育におけるperson centered careに関する教育と意義に関する文献検討を追加して行った。先行研究では、学生の実習の学びや学生自身の変化、実習で経験した看護技術の実態、学生のフィジカルアセスメント能力や看護過程に関わる認知思考能力、尺度を用いたコミュニケーション能力等、主として実習での学生のスキルや学び全般に焦点をあてた研究は多いものの、実習での学生の臨床の場や患者のとらえ方、それに対する教員のかかわり、学生の患者理解の変化や深まりについては研究が少なく、十分には明らかにされていないことが示唆された。 当初、文献検討をふまえて、実習カンファレンスのフィールドワーク及び実習指導教員のインタビュー調査を実施する予定であったが、COVID-19の感染収束に至っていない状況をふまえて、実習中のフィールドワークは困難であると判断した。そのため、実習において教員が学生の患者理解をどのようにとらえ、「患者中心」の看護への学習支援をどのように行っているのかを明らかにするために、実習指導教員への半構造化インタビュー調査を計画した。研究計画について、研究者所属施設の研究倫理審査委員会の申請を行い、2022年2月に承認を得たところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年冬以降のCOVID-19感染症流行により、2021年度も、講義、演習、実習等の学事関連の運営、調整や学生対応等の業務が増加し、年間を通して土曜日まで演習を行う状況が続き、研究時間の確保が困難な状況であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度までの患者受け持ち実習における看護学生の患者理解に関する文献検討について、論文投稿の準備を行っていく。 また、併せて、実習において教員が学生の患者理解をどのようにとらえ、「患者中心」の看護への学習支援をどのように行っているのかを明らかにすることを目的に、研究倫理審査の承認を得た患者受け持ち実習(2~3週間の期間で行われる基礎看護学実習または成人看護学実習)を担当する教員を研究参加者とした半構造化インタビュー調査を開始する。研究参加者は、機縁法にて10~15名程度募る予定であり、得られたインタビューデータは、逐語録に起こし、質的記述的デザインに基づき、オープンコーディング、焦点的コーディング、比較分析を行い、テーマを抽出するプロセスにて分析を進めていく。得られた結果についても、論文投稿に向けて準備を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:前述の通り、COVID-19感染流行に伴う授業や学生対応等の教育業務が多く、研究活動の十分な時間確保が困難な状況が続いており、当初計画していた論文投稿や学会発表、研究実施等に伴う支出が行えなかったため。 使用計画:2021年度前に予定していた学会発表、論文投稿、研究実施(インタビュー調査とデータ逐語録作成、研究参加者への謝礼、研究説明同意書の郵送費、交通費等)、人件費として使用予定である。
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