2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K17441
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 綾子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10410200)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | シミュレーション教育 / 脳血流量 / 視線動向 / 教育効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シミュレーション教育の効果や影響を、生体データを収集・分析することにより可視化し、客観的な検証を行うことを目的としている。シミュレーション教育は、本来は、対面の授業で、指導者と学習者が双方向で学習者の学習者を支援するという方法の一つである。本研究では、視線動向を計測するゴーグル型のアイカメラと、同時に脳血流量を測定するための機器を前額に装着し、看護援助の動作を行い、また、もう一人の被験者とともに話し合いながら看護援助の動作の振り返りを行うという実験の方法をとっている。1回の実験の所要時間は約1時間であり、2名の被験者とデータ収集の研究者とで、実験場所に入り、COVID-19の流行下では、実験を行うことは困難な状況にあった。 2021年度も2020年度と同様に、頭部や顔面に接触する実験機器を使用しての実験は行うことが適切である状況にはなかった。そのため、2021年度は視線動向を測定したデータの分析を中心に研究を進めた。しかし、脳血流量は2名ずつのデータが収集できるが、視線動向は1名ずつの測定となり、データのさらなる収集が必要という考えに至った。脳血流量の測定については、データは少ないながら、今後の実験の再開についてまだ未定のため、論文作成を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の感染が拡大のために実験によるデータ収集が不可能であることが研究の遅れの理由である。視線動向の計測には、ゴーグル型のアイカメラの装着、脳血流量の測定には、前額に測定器を装着することが必要であり、実験には、1回につき2名の被験者で、会話を交わしながら、実験で行った看護援助の動作の観察と振り返りを行うという方法をとる。実験の所要時間は、約1時間かかり、静粛な環境が必要であること、看護援助を行うことが可能で、患者役が必要な場での実験が必要であることから、実験場所の面積が限られ、かつ換気ということも十分に行うことが不可能であることから、データ収集が行えないことが研究の遅れにつながっている。データは目標の半分は収集できているため、統計学的な分析にはデータのさらなる収集が必要と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在は、勤務する大学でも対面授業が部分的に始まっていることから、研究対象者に実験前までに経験してもらいたい授業の終了を待ち、8月から9月にかけて実験を再開し、データ収集を行う。研究の環境の感染予防対策として、アクリル板の設置や、研究環境及び研究機器のアルコール消毒などを行い、実験を再開する。1台の機器を使用する視線動向のデータ収集は、機器の消毒等の必要性がある、また、ゴーグル型の機器のため、眼球の粘膜に近い位置で使用するため、研究対象者の危機の使用に対する不安にもつながる可能性がある。また、視線動向の計測には、視線のキャリブレーションを要し、機器の調整にも時間を要する。感染予防対策のためには、できるだけ短い時間でデータ収集を終える必要がある。そのため、視線動向のデータ収集は行わず、脳血流量の測定のデータの収集を行う。 また、実験前の研究の説明と同意については、実験場所と異なる場所で行い、同じ空間を使用する時間をできるだけ少なくするように配慮し、換気を行いながら、実験を進める。脳血流の測定だけで目標の被験者数に達したところで実験を終了し、データの分析、論文作成・発表を年度内に終了させる。
|
Causes of Carryover |
対面で行う必要のある実験が、COVID-19の感染拡大により、実施できていないことから、被験者への謝金の発生がないこと、また、データ分析のための人件費の支出が予定通り行えていないことから次年度に使用額が生じている。 次年度は、感染予防対策のアクリル板の設置、実験機器や環境に対する消毒用アルコール製品の購入を行う。また、研究の説明や同意書への署名等をオンライン上で行えるようにするための機器の準備にも研究費を有効に使用する。さらに、実験が遅れていることで、脳血流量測定の記録のためのタブレットのアプリのバージョンが古くなりアップデートのための新しいタブレットが必要になったため、その購入のためにも研究費を使用する。 実験を実施し、データの収集後には、データ整理のための人件費の使用を再度計画する。さらに、論文を英語にすることも検討し、翻訳や発表のための費用についても研究費を有効に活用できるようにしていく。
|