2021 Fiscal Year Research-status Report
看護サービスの質を担保するために必要な患者情報の効果・効率的な提供のあり方
Project/Area Number |
18K17448
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高見 美樹 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (10335565)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護情報システム / 患者情報収集 / 視線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、看護師が効果的・効率的に患者情報を収集するために求められる情報提供のあり方を明らかにすることを最終目的とし、始業前に電子カルテシステムを用いて看護師が受け持ち患者の情報をどのように収集しているのか、収集した情報をどの程度把握しているのか、看護師の経験年数により患者情報の収集に違いがあるのかについて、調査、分析を進めている。 調査用電子カルテシステムを用いて始業前の看護師が行う患者情報の収集における視線に関する調査では、全ての調査対象看護師(35名)が、2例目以降に情報を収集した模擬患者1名を中心に分析を行った。その結果、患者1名あたりの電子カルテからの情報収集時間の平均時間は、ベテラン看護師群320.23秒,新人看護師群365.85秒となり、新人看護師の情報収集時間が長く、先行研究と同様の結果を得た。注視している内容に関しては、「医師記録」、「看護記録」、「観察項目」、「医師指示」、「業務確認」は全ての看護師が注視していたが、「看護計画」、「他職種記録」の注視者は30%以下と低い割合だった。また、注視している時間に関しては、「看護記録」が最も長く、平均閲覧時間は、ベテラン看護師群46.36秒、新人看護師群71.38秒であった。しかし、それ以上の長い時間を占めていたのは、メモを記載するため等の理由で、画面以外を見ていると考えられる「視線なし時間」であり、ベテラン看護師群における平均時間は87.82秒、新人看護師群では97.92秒であった。次いで、システムの画面展開を待つ時間やマウスを操作している時間と考えられる「操作時間」となり、ベテラン看護師群における平均時間は84.82秒、新人看護師群では68.15秒であった。患者情報の収集以外の時間が、ベテラン及び新人看護師群共に3分程の時間を占めていることが、今回の調査で初めて明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、撮影動画の分割を一通り終え、視線の位置に関する領域の抽出及び時間計測、インタビュー調査の結果について分析を進めている現状である。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が継続し、感染者数が増減することで、本務業務の変更と調整が引き続き必要な状況になった。また、分析結果の解釈について、臨床看護師からの意見を聞く機会を設定していたが、先方の施設における看護職員の感染状況などを受けて調整が必要となることもあり、進行状況がやや遅れる状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、視線の位置に関する領域の抽出及び時間計測の結果に基づいて、ベテラン看護師と新人看護師における閲覧している領域と、閲覧時間の違いについて分析を継続する予定である。また、インタビュー調査の結果に基づいて、電子カルテシステムから情報収集した患者情報を、どの程度把握しているのかを評価することを目的に「患者情報把握項目」を作成し、この項目に基づいて評価、点数化を行い、ベテラン看護師群に患者情報把握得点が高い看護師が多いのか等の分析を行う予定である。加えて、これらの分析結果から臨床看護師の意見を含めて、患者情報把握得点が高い看護師における患者情報収集の特徴を抽出を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行期間の延長に伴い、まん延防止等重点政策の発令や解除を受けて、本務業務の変更や、意見を伺う予定であった臨床看護師の所属施設における看護師の感染状況の変化を受けて、調整を行うこともあり、予定通りに進まなかった部分もあった。また、発表予定であった海外での学会が、オンライン開催と変更になったことを受けて、渡航費として計上していた予算を執行することができなかったため、次年度使用額が生じることとなった。
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