2018 Fiscal Year Research-status Report
カテコラミン製剤の血管外漏出に対する確かなケア方法の確立に向けた基礎研究
Project/Area Number |
18K17466
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
野里 同 岩手医科大学, 看護学部, 助教 (10807225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カテコラミン製剤 / 血管外漏出 / 実証研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
カテコラミン製剤が血管外に漏出した際に皮膚傷害が悪化し壊死するなど、細胞毒性をもつ抗がん剤と同様に皮膚の傷害が重篤化することが問題となっている。しかし、カテコラミン製剤が抗がん剤と同様に皮膚傷害を重篤化させる機序は解明されていないため、有効なケア方法は十分に検証されていない。そこで、カテコラミン製剤の血管外漏出時に有効なケア方法を検討するための基礎データとして、血管外漏出時に皮膚傷害が重篤化する機序を解明することを本研究の目的とした。 6週齢のWistar系雄性ラットの背部の皮下にカテコラミン製剤を注入し、肉眼的な観察とエコーでの観察を行った。また、病変部の皮膚組織を摘出後、ヘマトキシリン・エオジン染色し光学顕微鏡で観察を行った。。 その結果、カテコラミン製剤を注入した部位に潰瘍が認められ、病変の組織学的検索を行うと炎症細胞や浮腫が認められ、その周囲には多発性の血栓が発生していることが明らかとなった。また、薬剤を希釈して注入した場合は、肉眼的には皮膚傷害が認められなかったが、組織学的検索では炎症細胞が浸潤し血栓が認められるなど、皮膚の内部では傷害が起こっていることが明らかとなった。これらのことから、カテコラミン製剤が漏出した際に皮膚傷害が重篤化するメカニズムとして、薬理効果である血管収縮作用による虚血ではなく、漏出による炎症や血栓などによる循環障害が影響していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでカテコラミン製剤が血管外漏出した際は、血管収縮作用で虚血状態となり皮膚傷害が出現すると薬理効果から推測されてきたが、本研究により血栓による循環障害が影響し皮膚傷害が重篤化するというメカニズムを解明することができた。また、実験系としてカテコラミン製剤の血管外漏出モデルを確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
カテコラミン製剤の血管外漏出モデルを用いて、これまで推奨されている温罨法の効果を検証し、より有効な看護ケア方法を検討する。また、これまでの実験結果に関しては学会発表を行い臨床現場に知見の共有を図る。
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Causes of Carryover |
ラット購入費および試薬、消耗品の残額であった。次年度のラット購入費および試薬、消耗品の購入に使用する。
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