2019 Fiscal Year Research-status Report
カテコラミン製剤の血管外漏出に対する確かなケア方法の確立に向けた基礎研究
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18K17466
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
野里 同 岩手医科大学, 看護学部, 助教 (10807225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カテコラミン製剤 / 血管外漏出 / 罨法 / 皮膚傷害 / 潰瘍 / 基礎研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの基礎研究で、カテコラミン製剤の血管外漏出時は血管収縮作用による虚血ではなく、血栓による血管の閉塞が関与している所見を得た。現在は、カテコラミン製剤が血管収縮剤であることから、血管外漏出時は収縮した血管の拡張を目的に温罨法が推奨されている。しかし、これまでの知見より、血栓で閉塞した血管に温罨法を実施しても血流の改善は期待できない可能性が高いことから、今年度はその効果について検討した。 方法は、吸入麻酔下でラットの背部の皮膚をつまみ上げ、注射針で皮下にカテコラミン製剤を注入後、罨法群は冷罨法群(21℃前後)、温罨法群(41℃前後)に分けてそれぞれ30分罨法を実施し、罨法を実施しない群を対照群とした。 その結果、冷罨法群では全例で発赤、潰瘍などの皮膚傷害は認められなかったが、対照群では、約2割の割合で1日目に発赤を認め、3日目に潰瘍を形成した。一方で、温罨法群で皮膚傷害が出現した症例は約8割の症例で、1日目に発赤を認め、3日目に潰瘍を形成した。 これらの結果より、これまで血管収縮剤であるカテコラミン製剤が血管外に漏出した際は温罨法が推奨されてきたが、温罨法群は8割以上が潰瘍を形成したことから、温罨法は皮膚傷害を悪化させる可能性が示唆された。また、冷罨法群は皮膚傷害が認められなかったことから、血管外漏出時は冷罨法が有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織傷害の評価に使用する染色方法の選定に時間を要し、組織標本の解析まで行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の見直しを行いながら、次年度は、まだ実施していないステロイド軟こう剤の局所作用の実験と、これまで実施した実験の論文執筆を進めていく。
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Causes of Carryover |
組織標本の作製に関して、染色方法の検討に時間を要し、今年度は組織学的検討を行うことが出来なかった。現在は、組織傷害に応じた染色方法も選定し解析中であり、次年度の染色方法についても同様に行えるため、実験及び解析は予定通り進めることができると考えている。
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