2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of nursing care based on scientific knowledge of skin lesions induced by extravasation of catecholamines: an experimental study
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18K17466
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
野里 同 岩手医科大学, 看護学部, 助教 (10807225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カテコラミン製剤 / 血管外漏出 / 皮膚傷害 / 罨法 / ステロイド / 基礎研究 / 看護技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度としての総括概要を記載する。カテコラミン製剤が血管外漏出(点滴漏れ)すると温罨法を実施しても皮膚傷害が改善しないことも少なくない。そこで、我々は実験動物を用いた基礎研究を実施し、カテコラミン製剤の血管外漏出時の皮膚傷害とその有効なケア方法について検討し、以下の知見が得られた。①カテコラミン製剤漏出時は一般の薬剤と同様に、初期の皮膚傷害には急性炎症が影響していること(2018年度)、②カテコラミン製剤の血管外漏出時の温罨法は皮膚傷害を悪化させる一方で冷罨法が皮膚傷害の予防・軽減に効果が確認されたこと(2019年度)、③カテコラミン製剤漏出時の皮膚傷害に対するステロイド軟こうの明らかな作用は確認できなかったこと(2020年度)等を明らかにした。 これまで、カテコラミン製剤の血管外漏出時はその薬理作用(血管収縮作用)から、血管を拡張させることを目的に温罨法が推奨されてきた。しかし、我々の基礎研究で得られた新たな知見(①)を基に、有効なケア方法とその効果について検討した結果、一般の薬剤と同様に抗炎症作用のある冷罨法が推奨され、これまで推奨されてきた温罨法は実施しない方が望ましいとことが示された(②)。また、抗がん剤等の一部の薬剤では、血管外漏出時にステロイドの使用もその有効性が認められているが、本研究においてその明らかな効果は確認されなかった知見(③)からも、当該製剤漏出時に有効なケアは冷罨法であることが実証された。 これらの本研究で得られた知見は、カテコラミン製剤の血管外漏出時のエビデンス(実証データ)に基づく確かな看護ケアの確立につながり、漏出時の傷害に苦しむ患者のQOL向上に寄与すると考える。
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