2021 Fiscal Year Research-status Report
診療情報データベースを用いたがん看護の質モニタリングに関する探索的研究
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18K17479
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
奥山 絢子 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 室長 (90452432)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん / 看護 / 質指標 / モニタリング / リアルワールドデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年は、これまでに明らかにした化学療法時の制吐療法実施状況に基づき、がん専門看護師と化学療法認定看護師の配置の有無により、ガイドラインで推奨する制度療法の実施率に違いがあるのかをマルチレベル分析を用いて検討した。結果、がん専門看護師が配置されている病院のほうがガイドラインの遵守率が高いことが明らかとなった。化学療法認定看護師も配置されることでの上乗せ効果があるか否かを検討したが、調査対象施設のほとんどが化学療法認定看護師を配置していたこともあり、統計的に有意な結果とはならなかった。本結果については、日本看護管理学会にて発表するとともに、Supportive Care in Cancerに採択された。看護の質モニタリングの質指標に関する文献調査の結果(医療の質安全学会誌に2022年掲載)を踏まえて、がん診療連携拠点病院をはじめとするがん診療病院の看護部長にがん看護の質を把握するために重要な項目とモニタリングすべき項目について質問調査を行った。結果、患者の生活の質の把握をモニタリングする重要性はいずれの看護部長も共通して認識していた。一方で、看護師経験年数が30年以上の看護部長、がん登録数が多い施設では看護師の質・量の確保を継続的に把握する認識が高い傾向にあった。この結果については、現在学会に演題登録をしており結果待ちの状況である。このように、がん患者の質モニタリングにおいて、国が指定するがん診療連携拠点病院等の比較的がん患者数が多い施設とそれ以外の施設で、重点を置くべきモニタリング指標が異なる可能性が示唆された。今後、どのような項目をモニタリングするべきか、その実行可能性を鑑みながら、さらに検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定していたデータ収集とデータ解析が終了した。投稿していた看護の質指標に関する系統的文献調査結果が、無事に医療の質・安全学会誌に採択され、また、昨年度までの化学療法時の制吐療法の実施状況の検討を踏まえて、がん専門看護師と化学療法認定看護師の配置とガイドラインに基づく制吐療法の実施率との関係を分析できた。また論文としても、Supportive Care in Cancerに採択され、現在MASCC国際学会での発表を進めているところである。本研究により、がん専門看護師が配置されることで、ガイドラインに基づいた制吐療法の実施割合が高いことを示すことで、専門看護師の配置の意義を広く伝えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は新型コロナウイルス感染症流行もあり、雑誌の投稿結果がなかなか得られず、研究を進めることに苦心したが、2021年度は現時点での結果を踏まえて、看護部長らへの質問紙調査等を進め、無事にデータを収集し主な解析が終了した。現在、結果については日本看護管理学会での学会発表に向けて投稿中である。今後は、看護部長への質問紙調査の結果を論文としてまとめること、そして、がん専門看護師の配置と制吐療法の遵守率については、MASCC学会にて発表予定のため、発表準備を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行に伴い、国際学会への参加が難しかったことが大きい。研究成果を国際的にも情報発信していくために、2022年度は国際学会での発表を予定している。
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