2018 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病「手帳」をつける経験の現象学的研究に基づく自己管理ツール開発案作成
Project/Area Number |
18K17490
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
細野 知子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教 (00815615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病 / セルフモニタリング / 自己管理 / 自己注射 / 質的研究 / 現象学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、糖尿病自己注射患者が1年間にわたり自己管理手帳(以下「手帳」)をつけるという経験を現象学的研究によって明らかにし、糖尿病看護で活用できる自己管理ツール開発案を作成することである。 1年次である2018度は、文献検討、研究倫理審査、本研究の着想をもたらした博士論文のデータを再分析した論文の投稿と掲載、予備調査の実施、数名の研究参加者のリクルートを経て調査を開始し、本研究の基盤が固まった1年であった。初年度の主な研究成果は下記の3点である。 1.論文掲載:体重、歩数、血糖値などの数値を「手帳」につけていた1名の経験を再分析した。食事・運動に専念する生活を送っていたその研究参加者には、それらの数値がありありとした意味を帯びて経験されており、「生きられた数値」の内実が明らかになった。査読の過程では現象学の専門家からの指摘を受けることで現象学的な観点からの分析・考察が深まり、本研究を進めていく有用な示唆を得た。 2.研究倫理審査承認:糖尿病自己注射患者が1年にわたり「手帳」をつける経験を追い、①「手帳」をつける時のつぶやき記録、②「手帳」・つぶやき記録を媒体にした定期的な非構造化面接を現象学的に分析するという研究内容について、研究代表者の所属機関と研究協力機関の研究倫理審査で承認を得た。 3.調査開始:選定基準を満たす研究参加者数名から研究参加の同意を得て調査を開始した。つぶやき記録の方法を各研究参加者と相談して決定し、非構造化面接を実施した。つぶやき記録のつけ方が多様であり、今後はデータ分析の視点を再検討する必要がありそうである。研究参加者の継続的なリクルートと、続けやすいつぶやき記録方法の検討が次年度以降の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年次である2018年度は、計画通りに本研究の発端である博士論文のデータを再分析した論文を投稿し、掲載に至った。また、研究参加者のリクルートが順調に進んだことから、本研究の理論的及び実践的基盤が固まった。さらに予定よりも早く調査を開始することができた。以上より、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究参加者リクルートの継続:本研究は1年間に及ぶ調査であるため研究参加者が途中辞退する可能性も考慮する必要がある。そのため、さらに2名程度の研究参加者を募る。また、現在は遠隔地の研究協力施設であり、対面で調査する時間の調整が困難であるため、近場に居住する研究参加者を募る。 2.つぶやき記録方法の検討:規模の異なる複数の研究協力施設で調査していることから、研究参加者の治療のあり方が多様で、セルフモニタリングの仕方や「手帳」の使い方が多岐にわたることがわかってきた。それに合わせて、継続可能なつぶやき記録の方法を個々に検討する。 3.データ分析:つぶやき記録、非構造化面接によるデータの分析を進め、研究会・学会で発表して議論する。
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