2021 Fiscal Year Research-status Report
移行期における慢性期の精神疾患を抱える人々が経験するケアに関する現象学的研究
Project/Area Number |
18K17497
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
石田 絵美子 兵庫医療大学, 看護学部, 講師 (50759058)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 看護師 / 経験 / 現象学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)慢性期の精神疾患を抱える人々が、各々の生活場所である病院や地域において、看護ケアを如何に経験しているのかを明らかにすること、 2)そのような看護ケアを受ける経験が、彼らの日常生活を如何に成り立たせているのかを記述的に探究すること、である。 2021年度は、精神科病棟の看護師の経験から「患者ー看護師関係」に注目してインタビュー調査のデータを現象学的アプローチによって分析した。患者たちとのかかわりについて語ってもらう中で、「自分を見つめる機会になった」「エネルギーをもらった」「守ってもらえる」等と患者たちから様々な肯定的なものを与えられた経験としても語られた。患者たちから与えられた癒やしや気づきなどの恩恵は、様々な困難な状況に対して看護師が時間をかけて丁寧にかつ懸命にかかわることにより生み出されて、それらは患者への看護ケアの信頼できる評価と考えられた。さらに、看護師たちは、そのような恩恵を受けるだけではなく、そこから「患者にとって信頼できる存在や場所」という役割や「病棟全体としての看護師側の患者たちへの対応」の重要性に気づき、新たな看護ケアを創造しようとしていたことがあきらかとなった。患者たちもまた、看護師ら他者を支援する役割を得ていて、それが彼ら自身の生活の質の向上につながっていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も、これまでと同じ研究参加者へのインタビュー調査を継続して実施すると同時に、新たな病棟でのフィールド調査と患者や看護師へのインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、コロナ感染症の影響により病院での調査を自粛せざるを得ない状況となり、予定していた調査を実施することができなかった。こうした研究の進捗状況を総じてみると、本研究は、当初の研究計画と比べると遅れていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)2022年度は2020年度と2021年度に実施できなかった地域での調査に着手するために、調査依頼や事前打ち合わせを行い、事前調査を経てデータ収集を実施していく。具体的には、これまで調査依頼をしてきた病院のグループホームに居住している、あるいはデイケアへ通う精神疾患を持つ人々の生活状況を参加観察して、インタビューを実施していく予定である。さらに、彼らを取り巻く様々な支援者、例えば精神保健福祉士や訪問看護師、グループホームの世話人やデイケアのスタッフなどにもインタビューを実施して、多様な視点から精神疾患を抱える人々の生活を詳細に分析していきたいと考えている。 2)2018~19年度に実施した精神科病棟で得られたデータや分析を見直し、その分析によって生じた疑問等にそって、引き続き、可能であれば同じ研究参加者に対するインタビュー調査も実施していく。そのことにより、患者たちの入院生活をより詳細により深く分析していくことが可能になると考える。 3)2022年度は本研究の最終年度となるため、これまでの病棟での調査に次年度実施する地域での調査のデータも加えて、全体のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
2021年度もコロナ感染症の蔓延により、予定していた調査を実施することが困難であった。そのため、期間延長の申請をして2022年度は、2021年度に予定していた調査にかかわる諸費(打ち合わせやインタビューのための交通費、テープ起こしの依頼費など)の支出を予定している。また、投稿論文のための英文校正費、さらに当初から予定していたテープ起こし代、謝金、その他にもデータ分析のためのパソコンと印刷のためのトナー、学会参加などにかかる支出も予定している。
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