2019 Fiscal Year Research-status Report
The study to develop teaching material utilizing 20M shuttle run.
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18K17501
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
馬塲 才悟 西九州大学, 看護学部, 准教授 (00346719)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シャトルラン / 体験 / 患者理解 / 学び / ICEモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、参加学生を募り、本研究の趣旨や個人情報の厳守について十分説明を行い、ICEモデルの理論枠組みを活用して少人数(15名)でのシャトルラン体験演習プレテストを行った。このプレテストは、シャトルラン体験後の息苦しさや呼吸困難などの症状や表情を動画として記録し、その動画を学生に見せることで呼吸器疾患のある患者の症状の理解や日常生活上の問題点とその時に必要とされる援助の理解に近づけるかを検証した。そのため、このプレテスト後に参加学生に「息切れ・呼吸困難のある患者の理解に近づけたか」という質問内容の自由記述アンケートを実施し、アンケート内容をテキストマイニング手法を用いて分析した。 アンケート内容について単語頻度分析を行った結果、上位(出現頻度が高い)の主要語は、「近づける」「思う」『感じる』『休憩』『息切れ』『続くこと』『常に』『深呼吸』『さする』『水分』『辛い』で抽出され、これらの主要語のつながりを共起ネットワークで分析したところ、【常に息苦しさが続くつらさ】【休憩をはさみ、深呼吸を促す】【水分をすすめ、背中をさする】という援助を考える学びにつながっていた。 さらに今年度は、先行研究の探索的研究や文献検討を行い、今回の研究結果にICEモデルの理論(Idea: 基本的知識の学習、Connection: 学びをつなげる、Extension: 応用する)を活用し、20mシャトルランの体験演習を理論体系化できた。すなわち、呼吸器疾患患者の看護演習にICEモデルを活用したことで、病態についての基本的知識の学習(Idea)と学生自身による息切れ・呼吸困難という患者に近い体験を統合(Connection)できたことは、患者の日常生活上の問題に対する援助を考えるという体験に結び付けた知の応用(Extension)につながっていたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回のプレテストで、シャトルラン体験演習の理論体系化ができた。このプレテストに参加した学生は、次の学年で臨床実習をむかえることになっており、このように、ICEモデルの理論を活用し、実習前にシャトルラン体験演習における統合化の体験ができていることは、実習に出た際に患者の立場になった視点でアセスメントが深まる強みとなることが推測できる。そして、この演習が臨床実習の学びを深めることにもつながる意義も大きいことが示唆された。次年度の20mシャトルラン演習は、臨床実習を迎える学年の授業に計画していくことを検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今回のプレテストでは、20mシャトルランを体験した学生、及び観察役の学生の視点で、援助内容を考える学びがあったことが検証できた。そしてこの一連の流れを動画として可視化し、学術的な理論づけを行えたことで、20mシャトルラン演習授業の体系化、構築ができた。次年度は、世界的なコロナ感染症のパンデミックも広がり、日本でもこの感染症が猛威をふるい緊急事態宣言が出された現状もあるため、20mシャトルラン体験演習の実施は中止し、これまでに収集したテキストデータを数値化し、統計解析処理ソフトを活用し、テキストマイニングの分析と合わせて数値化したデータの多変量解析を進めていく。そして、分析結果と文献検討を行い、学術的な研鑽と公表を目指していくために、学術的な研究論文の執筆および投稿を中心に取り組んでいく。尚、現在、結果の一部を看護教育学分野の学術雑誌に投稿し、査読結果待ちの状況である。
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Causes of Carryover |
今年度は、COVID-19の世界的な感染流行もあり、学会発表などができず旅費の予算残金が生じた。また、学生が記述した文書データーが、かなり増えてきており、次年度は、文書保管の為に鍵付き保管棚の購入とテキストデータ化した電子ファイルの保存のために認証用USBやハードディスクなどの用品の購入追加が必要である。 また、今年度は演習状況を動画として記録し分析に活用した。そのため、次年度は動画作成と編集を行うための動画編集ソフトとSDカードの購入追加も必要である。さらにテキストデータを数値化し、多変量解析を行うための統計解析処理ソフトの購入追加が必要である。結果の公表として、学術学会での発表のための出張旅費の追加と学術雑誌への投稿での英文校正費用が必要である。
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