2018 Fiscal Year Research-status Report
看護師の終末期患者との心理的距離自己認識尺度の開発
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18K17503
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
西田 三十一 聖徳大学, 看護学部, 講師 (10736622)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 終末期患者 / 看護師 / 心理的距離 / 自己認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
死に向かう過程にある患者は、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルペインといった全人的苦痛を抱えており、終末期患者と関わる看護師は、それらの苦痛を緩和する看護実践を求められる。終末期に看護が果たす役割は大きいが、看護師は、終末期患者とどう関わればよいかについて苦悩している。本研究では、終末期患者と関わる看護師が、患者へ形成する心理的距離を振り返り、自己の関わり方を認識する尺度を開発することにより、患者との関わりについて自己を振り返るための示唆を得ることを目的としている。 本年度は、研究の方向性の確認および看護師が形成する死にゆく患者との心理的距離に関する研究等をもとに、「看護師の終末期患者との心理的距離」について構成要素を検討した。これらの研究は、一般病棟と緩和ケア病棟の看護師にインタビュー調査を行い、質的に分析したものである。一般病棟の看護師からは、患者との心理的距離を主体的に形成したり、一方では患者との距離を遮断してしまうことなどが示された。緩和ケア病棟の熟達看護師は、終末期ケアに専心して取り組んでいる特徴があり、心理的距離をどのように主体的に形成しているかという、より具体的な要素が示された。それらのデータを統合し、看護師が形成する死にゆく患者との心理的距離の構成要素について分析した。その結果、看護師が患者との心理的距離の一致度を見極めていることや、看護専門職として自己の存在の在り方を調整しながら、終末期を意識した看護行為を実践することなどが示された。これらは、本研究の尺度を構成する要素を検討するための基盤となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度計画していた構成要素の検討は実施できたが時間がかかり、質問紙の作成まで終えていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、はじめに、質問項目の精選を行う。また、妥当性を検討するための関連する概念や尺度を探索する。そして、質問紙作成を行い、内容を検討したのち、近隣の医療機関1施設を対象に質問紙調査を実施する。対象者は、看護師50名程度を予定している。回収したデータを分析し、質問紙の信頼性、妥当性を検討する。その後、全国の終末期患者への看護を実践している医療機関(300床以上を予定)から無作為抽出法を用いて研究依頼施設50施設程度を抽出し、看護師1000名程度に質問紙を配布する予定である。
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Causes of Carryover |
質問紙調査が実施できず、そのために計上していた予算を執行することができなかったため残額が発生した。次年度は、妥当性を検証するために必要な関連する尺度を探索することから書籍購入や文献複写のための費用が必要である。また、近隣の医療機関への質問紙調査実施および全国への質問紙調査実施にともない、封筒等購入費、印刷費、通信費などが必要である。また、分析のためのソフトの購入やデータ入力のための人件費が必要である。
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Research Products
(1 results)