2018 Fiscal Year Research-status Report
虐待予防支援につながらない親の「育てにくさ」の認識と行動化との関連について
Project/Area Number |
18K17507
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
古澤 亜矢子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (20341977)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 児童虐待 / 育児不安 / 発達障害 / 親子相互交流療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
虐待要因の一つとして、親が感じる「育てにくさ」がある。特に問題であるのは、親が「育てにくさ」を感じながらも周囲に相談や助けを求めることができない孤立してしまう親子と考える。このような親の特性の中で、本研究は、親の精神問題、コミュニケーション能力により周囲とつながらない、世間からの常識的なアドバイスが入らない等があり、それに対して既存の支援機関からのアドバイスが功を奏しないケースに着目した調査を考えている。 2018年度の予定は、関連文献レビューと「育てにくさ」を明らかにするためのインタビュー実施であった。関連文献については、「虐待」「ADHD」「PCIT」等のキーワードをもとに文献を確認している。そこで明らかになったことは、虐待が子に影響する問題は世界どこでも深刻であり、虐待を受けた子は、将来的に身体面・精神面に問題をきたすことがわかった。 親の特性については、継続している親子相互交流療法施設における親子の状況を整理したところ、「親を喜ばせる反応が少ない」「子どもの機嫌の悪さ」「社会的孤立」「抑うつ・罪悪感」「子どもに愛着を感じにくい」のストレスが高いのではないかと推測できた。さらに、母親の場合は、「夫が母親の子育ての大変さを理解しない」等の訴えがあった。また、特徴的な結果として、母親の特性についてで、ADHDと診断されていないものの家事や子育てをスケジュール立てて実施出来ない等の現状も虐待に影響しており、子がADHDの場合高い確率でこのような現状が起きているのではと推測できた。これらの結果は、現在海外ジャーナルの投稿に向けて情報を整理している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究実施計画は、文献レビューとヒアリング調査により「育てにくさ」を現状から明らかにすることであった。文献レビューから、虐待との関連で、女性のADHD、愛着性障害に着目することが大切であることがわかった。また、過去に実施した研究データを整理したところ本研究の調査につながる母親の特性が見えてきたため、専門家の教員にアドバイスを頂きながらデータ整理をして、海外の専門ジャーナルに投稿していく準備をしている。 ヒアリング調査については、想定していた以上にデータ整理に時間がかかってしまい2018年度は実施できなかった。これについては、文献や過去のデータ整理からの結果をもとにヒアリングすべき項目を出し2019年度に実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、児童施設、児童相談所等の調査する場を拡大していくことが課題の一つになっている。児童相談所及び児童施設については、2018年度に挨拶は済んでいるが、具体的な研究についての依頼説明は2019年度に実施出来るとよいと考えている。 次に、ヒアリング調査、プレテスト実施、質問紙の作成をすることである。質問紙作成に向けて、まだヒアリング調査が出来ていない。それについては、ヒアリング調査、調査方法についても専門的な知識をもっている研究者にアドバイスをいただいている。 今後の研究の推進方策は、文献レビューは継続して、以前の研究等のデータ整理を実施した上で、親の特性を絞り込み、本格的な調査を実施出来る準備をしていくことがもっとも重要課題である。具体的には、①虐待と関連のある母親の特性についての海外ジャーナルへの投稿、②調査実施に向けての倫理的審査準備、③専門家にアドバイスを頂いたうえで質問紙作成、④調査可能な施設への研究説明となる。
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Causes of Carryover |
本学部開学4年目にあたり教育に関わる時間が多くなり、当初予定していた調査の準備が滞ってしまった。そのため、設備備品の購入(ノートパソコン、プリンター)、海外学会参加を含め予算執行ができなかった。2019年度は、設備備品の購入、整理したデータを投稿していくための英文校閲費、調査に必要とされる文具、レターパック等を購入予定である。
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