2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a tailored self-care support program for patients with heart failure
Project/Area Number |
18K17517
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 尚子 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (00711392)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セルフケア / 看護 / 心不全 / バーチャルケア / 遠隔看護 / オンライン |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性心不全患者において在宅でのセルフケア実践は、患者の生活の質を高め、心不全増悪による再入院や死亡を抑制するために不可欠である。そこで、高齢慢性心不全患者に対するセルフケア支援を強化するためのパンフレットを開発しその有効性を検討することを目的としたパイロット調査を実施した。その結果、新たに作成した高齢心不全患者向けセルフケア教育支援は心不全患者のセルフケア行動を改善させることが示唆された。 また、新型コロナウイルス感染症の影響で、電話やタブレット端末などの通信技術を用いたバーチャルケアが国内外で急速に広まっている。高齢心不全患者においては、細やかな看護ケアやフォローアップが必要なものの医療機関へのアクセスが難しい方も多くバーチャルケアが有効である可能性がある。またバーチャルケアはコストの削減、医療専門職の時間の節約にもつながることが指摘されている。このような状況を鑑み、本年度は慢性心不全認定看護師とバーチャルケアを用いた外来看護ケアの可能性について議論した。 さらに、慢性心不全患者においては心不全増悪症状の早期発見・治療が重要であるが、併存疾患を有することが多く、心不全の増悪状態を見極めることは容易ではない。近年開発された、非侵襲的に肺のうっ血状態を測定できる遠隔誘導センシング(ReDS)技術を用いたデバイスは、看護師のアセスメント能力を向上し、心不全増悪症状の早期発見につながる可能性がある。そこで、心不全認定看護師が新しいデバイスを扱えるよう講習を行った。現在、臨床での実施可能性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で、新たな調査の準備と実施(例、対象者の登録、データ収集)に予想以上の時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、慢性心不全看護認定看護師を中心に病棟や外来担当の看護師等を交えて、バーチャルケアや新しいデバイスを用いた外来でのセルフケア支援提供の実施可能性について検討する。 新型コロナウイルス感染症の影響で、当初予定していた日本国内の病院での調査の実施が計画通りに進まないことを度々経験したことから、調査施設を拡大し、スウェーデン、リンショーピン市のプライマリケアセンターを調査施設に加え、同様の調査を並行して実施する。なお、スウェーデンでも日本と同様に高齢心不全患者が増加しており、電話やタブレット端末などの通信技術を用いたバーチャルケアが新型コロナウイルス感染症の影響で急速に広まっている。 バーチャルケアの実施可能性の調査対象は、日本の一大学病院とスウェーデンのプライマリケアセンターに勤務する看護師等の医療従事者および心不全患者とその家族とし、インタビュー調査と自記式質問紙調査を実施する。 実施可能性の検討のため、バーチャルケアが受け入れられか、日常診療に組み入れられるか、現在の保健医療システムに取り込めるか等を調べる予定である。さらに、非侵襲的に肺のうっ血状態を測定できる遠隔誘導センシング(ReDS)技術を用いたデバイスを心不全認定看護師が扱えるようスウェーデンのリンショーピン市のプライマリケアセンターでのトレーニングを引き続き行い、臨床での実施可能性を検討する。 これらの結果を踏まえ、高齢心不全患者に対するバーチャルケアや新たな技術を用いたセルフケア支援プログラムを作成し、生活の質や再入院予防への効果を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で調査が進まず、予定していた調査費用を使用しなかった。また、新型コロナウイルスの影響で参加を予定していた学術集会がオンライン開催に変更となり、予定していた研究打ち合わせもすべてオンラインで実施したため、これらに関連して計上していた旅費を使用しなかった。これらの理由から次年度使用額が生じた。 来年度は、今年度に実施できなかった部分の調査や予定していた学術集会への参加を計上していた予算を用いて実施していく予定である。
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