救急看護コンピテンシーの評価尺度の開発と検証

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K17521
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 山口 優 九州大学, 医学研究院, 助教 (60799948)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 救急看護 / コンピテンシー / 高度実践看護 / 看護実践 / 障壁 / 促進要因

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は救急看護コンピテンシーの評価尺度の開発と検証である。
昨年度より国外における救急看護コンピテンシーに関するSystematic review（SR）を試み、評価尺度の項目抽出を計画した。SRでは質の高い救急看護を実践するAdvanced Practice Nurse (APN)のコンピテンシーに焦点を当てた。期待されるコンピテンシーではなく、実際に現場で発揮しているコンピテンシーの明確化を目的とした。
今年度も引き続きAPNの救急看護コンピテンシーの明確化を進めた。2人のレビューアで議論し、救急看護コンピテンシーの明確化に加え、実際のコンピテンシーを発揮する上での障壁と促進要因の特定も目的に加えた。APNが実践することによる有益性は報告されており、今後の対策を考えていく上で障壁と促進要因の明確化は必須である。
また、対象者を救急領域に限定していたが、救急や急性期を専門とするAPNは、クリティカルケア領域でも実践しているため、包含基準に含めた。クリティカルケア領域を含めた文献検索を6つのデータベース（MEDLINE、CINAHL、Scopus、Web of Science、Mednar、GreyNet International）を用いて行った。1,237件が選定され、重複文献を除いた1,063件を1次スクリーニング（タイトルとアブストラクトによる評価）の対象とした。1次スクリーニングを再度行い、2次スクリーニング（全文評価）へと進む段階である。
データの詳細を含むため、事前に2人のレビューアでデータ抽出リストを検討し、以下を含めることとした。研究の特徴（著者、発行年、研究デザイン、国、目的）、研究の集団（対象者、年齢、性別、環境）、APNの役割（資格、役割における期間）、コンピテンシーの説明（実際のコンピテンシー、障壁、促進要因）、著者の結論。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

今年度はAPNの救急看護コンピテンシーの明確化を目的としたSRを行う予定であった。クリティカルケア領域の追加による文献の再検索や、事前のデータ抽出方法の検討に時間を要した。今後は文献の2次スクリーニングへと進み、結果の抽出・統合を行う。これらからAPNの救急看護コンピテンシーの評価項目の抽出を図る。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の今後の推進方策は、今年度より引き続き、APNの救急看護コンピテンシーを明らかにし、質問紙の項目抽出を行い、専門家集団へのデルファイ調査、尺度項目の洗練の順で進めていく予定である。
次年度中にAPNの救急看護コンピテンシーと障壁・促進因子に関するSRを完了させ、項目抽出後質問紙の原案作成に繋げる。

Causes of Carryover

予定ではデルファイ調査やパイロットスタディのため、郵送費や質問紙作成費用を計上していた。
研究計画の遅れが生じており、SRの英文校閲や質問紙収集作業等の研究補助費等についても予定通り執行できなかった。今年度はCovid-19による影響で関連学会がオンラインで実施され、旅費の支出がなかった。次年度は引き続きSRを進め、論文作成、発表等に向けて使用していく予定である。