2018 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法を受ける外来通院患者の災害時の課題と対処に活用できるリソース
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18K17524
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
菅原 よしえ 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (60315570)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん患者 / 外来化学療法 / 災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度では、がん化学療法を受ける外来通院患者の災害時の課題と対処に活用できるリソースについて、がん看護の専門家からの2件の情報収集を行い、調査の準備を行った。 1件目は、東日本大震災を経験するがん診療拠点病院に勤務するがん相談支援センターの相談員から、災害時のがん患者の状況について情報収集を行った。東日本大震災において、がん患者は災害発生後の治療継続が可能な施設について情報を求めていた。また、治療可能な医療施設の情報の入手方法、情報提供先の周知が十分でなかった。そのため、患者の戸惑いや、治療再開の遅れ、そのことをに伴う不安を増大していたことが分かった。また、災害復興期においても、がんと災害による二重のストレスを抱え、ストレスフルな心理状態を開放する場を求めているとのことがわかった。がん相談支援センターでは、東日本大震災の経験を活かし、熊本地震発生時には、全国的ながん相談支援センターのネットワークを生かして、早急な対応が行われた。具体的には、インターネットのwebサイトに災害時の対応、受け入れ医療機関、相談窓口の情報を掲載して被災したがん患者へ情報が届く方策が試みられていた。発災直後の医療状況について、適切で確実な情報を提供し、情報を得る窓口としてがん相談支援センターの役割が重要であることが分かった。 2件目は、西日本豪雨による土砂災害の支援に携わった看護師から、活動状況を情報収集した。この災害では、被災による死傷者よりは、交通の遮断による影響、猛暑時期と重なった事による避難者及び支援者の熱中症予防等の健康管理の問題があった。がん患者への影響については、発災後の急性期・亜急性期においては把握できなった。しかし、慢性期・復興期において、がん患者への影響が顕在化することが考えられるため、発災後の時期を考慮して情報取集する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度において、がん患者団体に対するアンケート調査を終了し、次のインタビュー調査の準備まで進む予定であったが、やや遅れている。 調査の対象及び範囲を検討するために、災害支援を経験するがん看護の専門家から災害時のがん患者の状況及び支援ニーズについて情報収集を行った。その結果、がん患者の状況を把握するには、災害直後よりも数か月~数年が経過した慢性期・復興期を含める必要性がわかった。がん看護の専門家からの情報をもとに、調査の対象及び範囲を具体化する必要性がわかり、今後計画を具体化する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題や研究の方向性について、変更はない。しかし、2018年度がん看護の専門家から情報をもとに、調査の時期、範囲を被災直後だけでなく、災害サイクルの慢性期・復興期を含めて調査する。災害サイクルの時期によって、改題や対策が異なり、支援のリソースも変化することが考えられた。それらをふまえて、調査内容を具体化する。
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Causes of Carryover |
2018年度アンケート調査の実施が遅れているため、調査のための郵送費、調査後のデータ整理の人件費等が残額となった。2019年度で実施予定であり、郵送費、人件費等を使用予定である。
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