2021 Fiscal Year Annual Research Report
A phenomenological study to understand the appearance of numbness in cancer chemotherapy;Development of a draft evaluation index using onomatopoeia
Project/Area Number |
18K17526
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
坂井 志織 武蔵野大学, 看護学部, 准教授 (40409800)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん / しびれ / 化学療法 / オノマトペ / 現象学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、がん化学療法中の方を対象とした調査を継続した。研究全体では調査①7名、調査②9名の参加者を得た。治療経過の中で他の有害事象と併せてどのようにしびれを経験しているかについて、調査①において面接を実施し、現象学的に分析ししびれをどのように身体として経験したのかを記述した。吐き気など激しく明瞭な症状が投薬周期に合わせて波のように押し寄せては引いていくことを繰り返す中で、蓄積性のしびれは背後に退き、発症の自覚を難しくさせていた。症状ごとに評価する方法よりも、他の有害事象と共にどのようにしびれが経験されているのか、包括的な評価視点の必要性が示唆された。 がん化学療法継続中に感じる症状が、どのようにしびれになったのか調査②において治療継続中の方に定期的に非構造化面接と日誌法を実施し、しびれの現れの経験についてオノマトペに着目して現象学的に分析した。日誌データはいつどのような症状があり、どのように感じていたのかを経時的に追い、逐語録と合わせて分析した。先行する知識により、物に触れた時の「ビリ」「チリチリ」という一瞬の感覚を違和感として日誌に記録しながらも、「しびれ」という自覚にはなっていなかった。断片的な違和感が続く中で継続的な違和感を自覚したことが、はっきりと「しびれ」と名指すことを可能にさせていた。そして当初オノマトペで多く記載されていた感覚は、「しびれ」という表記だけになり、次第に「しびれ感に慣れてきた」という記載もなされるようになっていった。 感覚の違和感を自覚するだけではなく、持続という時間幅を含むことが「しびれ」を症状として成り立たせる背景としてあることがわかった。また、オノマトペはまだ名付けられないものを探る装置として機能していたことが分かった。オノマトペが出現する時期から対話的に関わり、しびれとして早期に自覚することが慣れに繋がる第一歩になると言える。
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