2019 Fiscal Year Research-status Report
精神科看護師の熟練形成プロセスと精神科看護スキルの継承に関する研究
Project/Area Number |
18K17527
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
森野 貴輝 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (00586969)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神科 / 熟練 / 看護実践 / スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精神科看護スキルがどのようなプロセスを経て熟練形成されるのかについて明らかにし、精神科看護スキルの継承に寄与することを目的とし、精神科に従事する新人・中堅・熟練看護師を対象に以下の3段階で研究するものである。 研究Ⅰでは文献検討の結果をもとに、精神科看護スキルの理解度と実施度を尋ねる質問紙調査を行い、精神科看護スキルを把握する。研究Ⅱでは、新人・中堅・熟練看護師それぞれに半構成的インタビューを行い、精神科看護師が有しているスキルとその熟練形成のプロセスを明確にする。研究Ⅲでは、新人・中堅・熟練看護師から構成されるグループにインタビューを行い、困難な臨床場面の検討を通じて、熟練看護師の有しているスキルが次世代の看護師にどのように継承されているのか、その契機を分析し、新人・中堅・熟練看護師が獲得した実践知の継承可能性を検証する。 現在まで、筆者が作成した質問票に基づき、精神科に従事する看護師に精神科看護スキルの理解度と実施度を尋ねるアンケート調査を行った。対象者は、長野県内の精神科病院および病棟に勤務する精神科看護師である。データ収集は、長野県の精神科病院および精神科病棟の承諾が得られた施設に、協力可能な人数を確認してアンケート用紙を送付した。看護管理者を介して質問紙を対象者に配布し、回収した。経験年数をもとに新人・中堅・熟練看護師それぞれが習熟している精神科看護スキルを整理した。現在、研究Ⅱに向けて、新人・中堅・熟練看護師それぞれに半構成的インタビューを行う準備を進めている状況であるが、昨今のコロナ禍によって医療施設へデータ収集に行くことができていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨今のコロナ禍によって、研究Ⅱ段階での、新人・中堅・熟練看護師それぞれへの半構成的インタビューのデータ収集に困難を感じている。そのため、精神科看護師が有しているスキルとその熟練形成のプロセスを明確にすることができていないため、当初の計画よりデータ収集に時間を要している。感染状況を踏まえ、施設側の許可を得てデータ収集を行い、所属機関の研究者からスーパーバイズを受けるなどして、質的研究の知見を深め、最終年度での報告書の完成を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、質問紙調査で得られた結果から、感染状況を踏まえ、施設側の許可を得て半構成的インタビューを行う。対象者は新人・中堅・熟練看護師各3名の合計9名である。新人・中堅・熟練看護師にインタビューを1回60分程度実施する。ただし、対象者に疲労がみられた場合は適宜休憩を入れる。インタビュー内容は了承を得てICレコーダーに録音する。録音不可の場合はメモの承諾を確認する。メモの同意が得られない場合は調査を実施しない。施設による偏りをなくすため同様に3施設で行う。ただし、インタビュー中に、状況を詳しく説明する図や資料などの提出を可能にする。精神科看護師のスキルを明確にし、個人の経験において重要なエピソードとそこから得られた教訓や知識について尋ね、精神科看護師として習熟したプロセスを明らかにする。また、新人・中堅・熟練看護師のそれぞれが、どのような臨床場面を通じて精神科看護スキルを獲得・継承しているのか、その契機を明らかにする。 令和3年度は、精神科看護師の実践能力がどのような熟練のプロセスから形成され、熟練看護師の有しているスキルが次世代の看護師にどのように継承されているのか、その過程を分析し、困難な臨床場面の検討を通じて、実践知の継承可能性を検証し報告書にまとめる。
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Causes of Carryover |
物品費に関して当初の予定より安価で商品を購入できたこと、また旅費に関してコロナ禍によって研究テーマに関連した学会に赴けなかったことで当該年度の実支出額を低く抑えられたことが主な理由である。翌年度は計画的に物品を購入するとともに、インタビュー調査に赴くため速やかに旅費を清算する。
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