2018 Fiscal Year Research-status Report
アディクションの根本原因としての機能不全家族の特性の解明と看護介入方法の検討
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18K17534
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
日下 修一 聖徳大学, 看護学部, 教授 (00566614)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 機能不全家族 / 調査項目検討 / 啓発活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的の第一はアディクションを統合した観点から捉え、アディクションの根本原因には機能不全家族の問題があることを明確にし、どの程度の機能不全家族の問題が薬物依存などの依存症あるいは児童虐待を引き起こすのかを明らかにすることである。 平成30年度の計画は第一に、薬物依存症者、アルコール依存症者、ギャンブル依存症者の自助グループ参加者及び家族に、面接調査を実施し、第二に、児童養護施設、児童自立支援施設の職員に面接調査を実施し、第三に、刑事施設職員に面接調査を実施し、質的研究を行うことであった。 平成30年度中は、聞き取り調査等のための倫理審査を提出する準備段階にあった。文献研究を行い、聞き取り調査の準備を行った。日本看護研究学会第44回学術集会に参加し、8月18日に単独で企画した交流集会「家事の解禁とギャンブル依存症の問題-看護の介入について-」で報告を行い、会場の参加者と意見交換を行った。参加者は30名程度であり、ギャンブル依存症の問題をはじめ、機能不全家族の問題や、薬物依存、HIV感染症者の問題なども含め、多岐にわたる問題について質疑、意見交換、議論を行い、啓発に努めた。また、長崎県立大学シーボルト校で開催された日本アディクション看護学会第17回学術集会に参加し、9月1日の教育研修「困難事例検討」で発表を行い、アルコール依存症、薬物依存症等に対する看護について意見交換を行い、アディクションの根本原因には機能不全家族の問題があることを前提とした看護の提供の必要性について検討し、啓発に努めた。 さらに、11月11日に栃木県断酒ホトトギス会の市民公開セミナーで「酒害者と家族の関わりについて」の講演を行い、機能不全家族の問題とアルコール依存症の問題について一般市民に啓発活動を行った。 こうした活動を通じて、平成30年度、令和元年度の調査準備、調査項目についての検討に役立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
倫理審査申請に必要な、施設使用許可等を得るのに時間を要しており、特に、年度替わりのため、刑事施設関係、児童自立支援施設等の施設使用許可に時間が不足したため。 既に、栃木県断酒会などのアルコール依存症関連団体並びに児童養護施設と連絡を取っている。刑事施設に対する依頼は1月となったため、次年度の調査実施となった。人事異動等の関連を考慮して、5月に依頼することとした。 5月~6月に施設等の許可が取れ次第、倫理審査申請を行い、遅れを取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に関連施設の施設使用許可等を得ることにより、倫理委員会に申請を行う。また、量的研究に関わる令和元年度の研究についての倫理審査も平行して、提出していき、遅れを取り戻す。 具体的には、第一に、薬物依存症者、アルコール依存症者、ギャンブル依存症者の自助グループ参加者及び家族に生育歴と依存症も含めた問題行動の関連を聴取する面接調査を実施し、第二に、児童養護施設、児童自立支援施設の職員に収容児童に関する生育歴と問題行動などに関連する内容を聴取する面接調査を実施し、第三に、刑事施設職員に受刑者の生育歴と問題行動、犯罪内容に関連する聴取を行う面接調査を実施し、質的研究を行う。その際、個人情報の保護など、倫理的な配慮を十分行った上で、実施する予定である。 質的研究の結果を基に、薬物、アルコール、ギャンブル依存症者の自助グループ参加者及び家族に対するアンケート調査(1000名程度)を、郵送法を用いて実施する。機能不全家族の問題が依存症の原因としてどの程度関わっているかの実態を調査し、量的に分析する。さらに機能不全家族の問題の評価尺度を開発する。量的分析結果及び機能不全家族の問題の評価尺度に基づいて、カウンセリングの方法など看護職が行える具体的介入方法を検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画の具体化、倫理審査に必要な施設等への依頼の遅れなどにより、倫理審査提出が遅れたことにより、調査経費として旅費が使用できなかったため。 次年度で平成30年度に使用すべき、旅費を使用して調査を行い、適切に使用する。
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Research Products
(2 results)