2018 Fiscal Year Research-status Report
散乱放射線分布図を用いた被ばく防護教育教材の開発と看護職者への教育効果の検証
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18K17538
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
大屋 富彦 椙山女学園大学, 看護学部, 助教 (30748215)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CT / 散乱放射線 / 被ばく / 放射線防護教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,放射線や放射線被ばくについて専門的な知識をもたない看護師の被ばく防護学習の支援のために,放射線の可視化を目指すことである.臨床場面での看護師の被ばくで問題となるのは,散乱放射線による外部被ばくである.これまでに,病棟における移動型X線撮影時の散乱放射線の強度分布を計測し,プロジェクションマッピングによる可視化を行い,看護学生を対象とした研修会を開催した.プロジェクションマッピングによる放射線防護教育では,一定の教育効果を示したが,被検者の安全性と研修会の汎用性に課題を残した(日本放射線看護学会誌に投稿した).可視化の方法について再検討しつつ,さらに被ばく線量が多いことが予測されるCT検査における散乱放射線の可視化を目指す. 昨年度は,人体等価ファントムを患者に見立てた頭部CT撮影における散乱放射線の強度分布の計測に成功した.散乱放射線の計測において,線量計の配置を放射状に変更することで,より強度分布を正確に捉えることができた.散乱放射線の分布は,ガントリーの両サイドで低く,寝台方向ではガントリー中心から離れるにつれ減弱していた.減弱の程度は,概ね距離の逆2乗則に従っていることが確認できた. 可視化に向けては,CT室でのプロジェクションマッピングでは日常診療に影響を及ぼすこと,また先回のプロジェクションマッピングでの安全性と汎用性の課題から,本研究ではバーチャルリアリティ(Virtual Reality:VR)を用いた可視化に計画を変更していくことにした. 本研究の構想については,第38回 日本看護科学学会学術集会の交流集会で口頭発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,対象とする臨床場面の設定と設定した放射線診療場面での散乱放射線の計測を終えることを目標にしていた. 先行文献より最も実施件数が多いとされ,また呼吸補助や体動抑制のために医療従事者が検査室内で被ばくする可能性が高い頭部CT撮影を選択した.人体等価ファントムを患者に見立て頭部CT撮影を行った際の検査室内での散乱放射線量を,nanoDot線量計を用いて計測した.計測箇所は,ガントリー中心から40cm間隔,角度30度ごとに水晶体および体幹部に相当する高さ150cm,100cmの点とし,各測定点における空間線量を測定した. 各測定点における線量に後方散乱係数を乗じて等価線量の強度分布を導き出した.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の測定結果から得られた等価線量の強度分布を元に,カラーマップを作成する.当初は,作成したカラーマップをCT検査室でプロジェクションマッピングすることで散乱放射線を可視化することを構想していたが,安全性と汎用性の観点からバーチャルリアリティ(VR)技術による仮想空間での可視化を試みる予定である.これにより,物品費の使用予定がVR機材の購入等に変更となった. また,これまでの成果を学会または論文として公表していく.
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Causes of Carryover |
2018年度の散乱放射線量の測定において放射線安全管理の専門家の立ち合いに日当として予算を計上していたが,受け取りを拒否されたため一日分の日当額として10,000円が残った.残りの3,313円は物価の変動や大量購入による割引等により残った. 2019年度は,2018年度の計測結果を元にプロジェクションマッピングを用いたコンテンツを作成する予定であったが,汎用性,安全性の観点からバーチャルリアリティ(VR)コンテンツに変更することになった.それに伴い,機材の購入やコンテンツの制作に予算が必要となり,こちらに充当する予定である.
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Research Products
(1 results)