2019 Fiscal Year Research-status Report
腎移植ドナー、レシピエントの潜在的支援ニーズを抽出するスクリーニングツールの開発
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18K17539
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
大橋 尚弘 大阪医科大学, 看護学部, 助教 (40646379)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎移植レシピエント / セルフマネジメント / 自己管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究において、患者(療養者)の健康管理行動に関する尺度ではその健康管理行動の「属性」にあたる部分が測定されることが多い。実際、腎移植レシピエントのセルフマネジメントに関する尺度でも、weng(2008)の腎移植自己管理行動尺度のように「属性」に着目されている。しかし、2018年から継続して実施している腎移植レシピエントのセルフマネジメントに関する文献レビューや腎移植コーディネーターを対象とした面接調査によって、わずかな時間で行う腎移植外来で質の高いフォローアップを行うためには、腎移植レシピエントのセルフマネジメント行動の「属性」よりもむしろ「先行要件」に着目した尺度を必要としていることが示唆された。 そこで、前述した文献レビューの結果をもとにセルフマネジメントの項目を洗練した結果、「服薬管理」、「運動」、「食事」、「セルフモニタリング」の項目が抽出された。 腎移植レシピエントは移植後もCKDステージ3に該当するため、慢性疾患の状態にある。そのため、現在、我が国における「慢性疾患のセルフマネジメント」の概念分析(浅井ら,2017)の先行要件、属性と前述の4項目がそれぞれ関連する質問項目を作成し、尺度を開発することを試みている。現在は尺度開発に明るい研究者や臨床の看護師などと意見交換を行いながら、より質の高い尺度となるよう、質問項目・質問内容の洗練に努めている。我が国の国民の特性として、セルフマネジメントへの肯定的な質問項目よりも否定的な質問項目の方が回答しやすいと考えたため、現在はどのような腎移植レシピエントでも回答しやすい質問項目となるよう、作成に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
尺度開発にあたって、尺度の項目や用語の洗練に時間がかかっている。また、新型コロナウイルスの蔓延により所属大学の業務に追われている。さらに尺度開発に明るい研究者や臨床医師、移植コーディネーターとの意見交換を行う機会が大幅に減少している。
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Strategy for Future Research Activity |
尺度開発の研究者や臨床医、移植コーディネーターなどからの意見聴取を今後は対面のみで行うのではなく、オンラインツールも活用しながら行い、尺度の項目を洗練することを考えている。また項目洗練後は統計的データを用いた項目の分析も実施することを予定している。
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Causes of Carryover |
想定以上に文献収集やレビュー、海外文献読解に時間を費やしたこと、項目洗練に難渋していること、さらに新型コロナウイルス流行に伴い、研究に大幅な遅れが生じたため、次年度使用が生じた。 今後はオンラインツールを用いて尺度開発の研究者や臨床医、移植コーディネーターからの意見聴取を行う、翻訳ツールを活用するなどして研究の進捗スピードを上げるよう努める予定である。また、次のステップでは腎移植レシピエントとの意見交換や統計的データ分析も予定しているため、それらに経費がかかる見込みである。
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