2020 Fiscal Year Research-status Report
早産児の呼吸の安定と自己調整機能の成熟を支える看護援助モデルの構築
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18K17550
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲井 あや 千葉大学, 大学院看護学研究科, 助教 (30612197)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NICU / preterm infant / 早産児 / 乳幼児突然死症候群 / 感覚統合 / 自己調整機能 / 呼吸パターン / 脳幹機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新生児集中治療室に入院する早産児の呼吸の安定と自己調整機能の成熟を支える看護援助モデルを構築することであり、早産児の呼吸パターンの変化とそれに対する親の捉え方を明らかにし、家族とともに行う援助を考案することを重視している。 令和2年度は臨床でのデータ収集を計画したが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行に伴い、研究開始時期を見合わせた。このため、新生児看護関連のオンライン学会や研修会に参加して広く情報収集に努め、2021年度以後の研究計画の見直しを図った。 1)2020年8月14日・9月23日、Council of International Neonatal Nurses主催による研修会に参加:ヨーロッパ、米国、アフリカ、日本を含む各国から現状報告があり、COVID-19が及ぼした新生児と家族、医療スタッフへの影響が紹介された。感染防止に留意しながら、親子が触れ合う時間をどう保証するのかが主題となり、親子分離の予防は共通の課題であることを再認識できた。 2)2020年9月8日~9月12日、米国Academy of Neonatal Nursing 主催によるVirtual Conference 2020、および2020年10月21日~10月23日、米国 National Association of Neonatal Nurses主催によるVirtual annual conference 2020に参加:新生児の感覚発達を中心とするプログラムの紹介があり、新生児の発達促進ケアにむけて家族が何をするのかを実践レベルで具体的に示していることが分かった。トラウマを熟知したケアでは、新生児集中治療室の環境や治療、親子の分離による影響として、強いストレスが新生児の将来的な脳構造の変化をもたらす可能性が説明され、早期からのケアの重要性が強調された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画に沿って、令和2年度は臨床における研究データ収集を実施する予定であった。しかし、この目標に到達していないため進捗状況を「やや遅れている」と判断した。COVID-19への対策のために、国内外の新生児集中治療室では親子が過ごす時間、触れ合う機会にも制限が設けられたことを受け、この状況下で研究を遂行することは本研究の目的に反すると考えられ、開始時期を見合わせたことは妥当と考える。また、COVID-19への対策として、大学教育ではオンライン授業や学内実習が必要となり、1年を通して教育エフォートが増大していた。以上の理由により研究遂行は予定より遅れたが、この間、研究計画の見直しを図り新たな視点を加えることができたため、令和3年度は計画の時期と内容を一部変更して本研究を具体的に進める予定である。データ収集開始の延期に伴い、新生児の行動観察研究に必要な機器等の購入を次年度へ繰り越す予定とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画における各時期と内容を以下の通りに変更し、計画を進める。 1.データ収集と分析(時期の変更) ①令和3年5月以後、研究協力施設に出向いて研究協力依頼を行い、許可を得られ次第、早産児の呼吸パターンの変化およびそれに対する親の捉え方について、データ収集を開始する。②令和3年11月末を目途に、収集した研究データの分析を行い、結果をまとめる。③令和4年3月末までに研究成果を論文にまとめ、学会誌に投稿する。 2.5月中に研究を開始できず、計画通りに進まない場合の対応(時期・内容の変更) COVID-19の感染拡大等の影響を踏まえ臨床における早産児の観察が困難となる場合は、早産児の呼吸パターンの変化に対する親の捉え方と関わり方に関するアンケート調査を計画し、研究依頼、データ収集の実施を進め、一次報告として成果をまとめる。さらに、将来的な国際比較に向けて、親の捉え方と関わり方を把握するアンケート項目の精錬を図り、英語版を作成する。予定期間終了後にも研究を継続して早産児の観察データを収集、上記の結果と統合し、看護援助モデルを構築する。
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Causes of Carryover |
当該年度は、研究計画の見直しのために関連学会や研修会等に参加して情報収集を行うことに時間を費やした。令和2年度内にデータ収集を開始することが困難であったことから、早産児の行動観察は次年度以後に開始する予定とした。このため、行動観察に用いるビデオカメラの購入費を次年度に繰り越した。 今後、研究計画が予定通りに進まない場合の対応として、アンケート調査を主軸とする研究へと計画修正の可能性がある。計画内容変更の場合は、ビデオカメラ購入費として確保している経費を、英語版のアンケート作成や研究成果の論文化に向けた英文校閲費等に充てるものとする。できるだけ当初の計画に沿って遂行できるよう引き続き調整を図る。
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