2018 Fiscal Year Research-status Report
小児がんの子どもの入院経過における家族機能と家族支援
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18K17569
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小代 仁美 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80531136)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小児がん / 入院経過における家族機能の変化 / 家族支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.文献検討:小児がんの子どもが入院して退院するまでの間の家族機能は、「入院直後から初期治療終了時期(入院1か月程度)の家族機能」と「初期治療終了時期以降の家族機能」に分かれた。入院直後から初期治療終了時期の家族機能は、家族が最も混乱状況に陥る時期。子どもの付き添いを主に行う母親は、治療に苦しむ子どもの姿を傍で看て、予測がつかない不安と心配と身体的な疲労がある、父親と子どもの病状の認識のずれもある。父親ときょうだいは、家庭での母親の役割を補完するという役割調整を行う。父親は、早退、休職などで家事や育児優先の生活を送る。きょうだいは、登園・登校拒否となり、小児がんの子どもの入院早期から起こる。家族は、心理的・身体的負担から心的外傷ストレス反応が出現する場合もある。初期治療終了時期以降の家族機能は、子どもの病状が安定して、症状の変化が予測できるようになり、家族が生活の管理が出来るようになる時期である。家族は生活にゆとりができる反面、両親は子どもの話が中心となる“子どもの親”という役割を優先した夫婦の繋がりに変化していた。しかし、両親の心身の疲労は1年間続いていた。一方、入院直後から初期治療終了時期に子どもの病状が安定しない状況の家族や父親と母親間のコミュニケーション不足から感情のずれが生じている家族は、混乱状態が続いていた。 2.質的研究:看護師へのグループ・インタビューを計画した。平成30年度は研究倫理審査にて承認を得て、対象のリクルートをした。しかし、看護師の不規則な勤務形態などでグループ・インタビュー実施に困難が生じ、対象のリクルートが難しくなった。そこで、グループ・インタビューによる調査方法を見直した。現在、平成31年度実施予定であった看護師を対象とした量的研究に加えて、小児がんの子どもの親を対象とした調査も行うことを検討し、研究倫理審査申請の準備をしている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は文献検討を基に質的研究を予定して計画通り実施していた。しかし、質的研究にて対象のりクルートが困難な状況となったため、研究はやや遅れている。そこで、再度文献検討を見直したことで、平成31年度(令和元年度)予定していた量的研究で看護師からのデータは集まる、加えて小児がんの子どもの親を対象とした調査の必要性があると考えた。今年度は、当初予定していた看護師を対象とした量的研究を進めながら、小児がんの子どもの親を対象とした調査も進めることで、調査の遅れを取り戻したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年6月に看護師を対象とした量的研究の研究倫理審査申請を行い、研究倫理審査承認後(7月~8月頃)アンケート調査を実施する。また文献検討の見直しから、小児がんの子どもの親の立場からの認識に関するデータ収集が必要であると考えた。よって、アンケート調査と並行して、小児がんの子どもの親を対象とした調査の研究倫理審査申請を7~8月に行い、研究倫理審査承認後より調査を開始する。 令和2年度は、小児がんの子どもの親を対象とした調査を早期に終了する。文献検討の結果、看護師を対象とした量的研究結果、小児がんの子どもの親を対象とした調査結果をまとめる。まとめの結果から、小児がんの子どもの家族が抱える問題を定期的にアセスメントできるツールを考える。具体的には、アセスメントの時期を割り出し、各時期に応じたアセスメント項目をリストアップする予定である。
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Causes of Carryover |
看護師を対象としたアンケートによる量的研究を実施する予定である。令和元年6月に研究倫理審査申請をし、承認を得たのちに調査開始する。また、同時に小児がんの子どもの親を対象とした調査も開始する予定である。 アンケートによる量的研究にかかる文房具(封筒、用紙)および封筒の印刷については、平成30年度に前倒し請求した金額を使用した。量的研究のアンケートなどの書類の印刷、郵送に加えて、小児がんの子どもの親を対象とした調査にかかる費用は当初予算の令和元年で賄う予定である。
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