2018 Fiscal Year Research-status Report
Providing educational MANGA tool: Impact on quantity and quality of family health history collection
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18K17597
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
平岡 弓枝 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 遺伝子診療部門 遺伝カウンセラー (90796731)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 家族歴 / 遺伝性腫瘍 / 遺伝学的検査 / がんゲノム医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん領域におけるゲノム医療は著しく変化している状況である.2018年度には「がんゲノム医療」が先進医療として開始し,がん患者における最適な治療を検討するために,ゲノム情報を用いた医療の提供がなされている.そして2種類のがん関連遺伝子のゲノムプロファイリング検査が製造販売承認を取得し,今後,保険適用での開始が見込まれている. 一方,がんゲノムプロファイリング検査により,二次的に遺伝性腫瘍の病的バリアントが認められる,もしくは疑われるケースが出てくる可能性がある.さらに,生殖細胞系列の病的バリアントの有無から治療適応を決めるコンパニオン診断も2018年度に承認され,保険適用となっている.つまり,これまで遺伝性腫瘍の患者はその臨床情報,家族歴から遺伝性が疑われ,診断に至るケースが中心であったが,がんゲノムプロファイリング検査や生殖細胞系列の遺伝子を調べるコンパニオン診断により,遺伝性腫瘍の患者が"拾いあがってくる"時代へと突入している. 当研究者は,二次的に遺伝性腫瘍の診断がついた場合でも,患者が理解し,自ら考えられる状況を医療者は提供する必要があると考える.もしくは,がんゲノムプロファイリング検査やコンパニオン診断を受ける以前に患者自ら遺伝性腫瘍の可能性に気づき,がんの早期発見・早期治療へ歩む道をサポートしていく医療サービスが必要だと考えている.当該研究で開発を目指している冊子ツールは,患者やそのご家族が遺伝性腫瘍やがんゲノム医療の理解を深める補助的な役割となること,患者やそのご家族が自律的に意思決定を行えることを期待しており,2018年度は国内の遺伝カウンセラーや遺伝医療に関わる医療者などから意見を伺ってきた.それらを踏まえ、現在,開発するマンガ冊子ツールの内容再検討ならびに研究計画の再構築を研究協力者と共に行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ここ1年だけでもがんのゲノム医療領域が大きく進化している.適したタイミングで,適したツールを開発したいと考えており,これまで冊子ツールの作画担当者ならびに研究協力者との協議を行い,それらの協議内容を踏まえて,研究計画の再検討を行っている.特に,変化が大きい領域という点において,なるべく長く使える内容を,もしくは容易に改定を行いやすい方法を冊子ツールの作画担当者と慎重に模索している. また,院内のがんゲノム医療体制構築ならびに遺伝性腫瘍のチーム医療体制の再整備を実施している.今後,開発したツールを用いた院内調査を行うにあたり,院内体制に即した調査方法を検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後のがんのゲノム医療やコンパニオン診断の進展と動向を伺いながら,研究計画の再検討を進めていく.同時に冊子ツールの開発に取り掛かり,2019年度中に研究倫理審査委員会にて研究計画の実施承認ならびに冊子ツールドラフト版の使用承認を得たい予定である.その後,冊子ツールの完成と印刷完了を目指す.冊子ツールの開発には3-4か月かかる見込みである. また,開発する冊子ツールは海外でも活用してもらえるように,海外の学術集会等に出席し,国外の遺伝カウンセラーより意見を得る予定である.
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Causes of Carryover |
冊子ツールの開発ならびに作成費用が,当初2018年度の支払い予定であったが,次年度以降の支払い予定となったため次年度使用額が生じた.冊子ツールの開発・作成費用には,マンガ作画担当者との打ち合わせに纏わる移動および会場費用,開発作成費用,印刷費用等が含まれる.現在冊子ツールの内容を再構築している段階であり,2019年度以降のマンガ冊子ツール完成時に開発作成費用の支払い予定となる.
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