2018 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災被災自治体の地域見守り訪問活動の効果と効果的活動に必要な要素の明確化
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18K17598
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松永 篤志 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70781730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 見守り / 高齢者 / 文献検討 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】見守り活動として様々な活動が報告されているが、それぞれの活動とその特徴について十分に整理されていない。そこで2019年度は、見守り活動の活動内容とその特徴を整理した。 【方法】医学中央雑誌Web版を用いた文献検討を行った。「見守り」and「高齢者」をキーワードに、「抄録あり」の条件で、検索対象期間を設定せずに検索し498件を得た。その内、見守り活動について具体的な記載がないもの等を除外し、90件を対象文献とした。分析は、対象文献に記載されている見守り活動の、具体的な活動内容と、誰が見守りを行ったのか等の特徴を抜き出し、類似するものをグループ化した。 【結果】見守り活動は「対象者宅に行く」、「機械を介して対象者の様子を確認する」、「サロン活動を行い対象者に来てもらう」の三つの大項目に整理された。さらに、対象者宅に行く活動は、「対象者に直接会う活動」と「会わない活動」に、機械を介して対象者の様子を確認する活動は、「血圧計や体重計等の測定機器を用いる活動」、「スマートフォンや固定電話を用いる活動」、「センサーを用いる活動」、「ロボットを用いる活動」に分けられた。これらの活動は、以下の点で特徴が異なっていた。活動で把握される内容について、「対象者に直接会う活動」と「ロボットを用いる活動」では健康状態と生活状況の両方を把握できるのに対し、他の活動ではどちらか一方のみであった。対象者と見守りを行う人との関わりについて、「対象者に直接会う活動」や「サロン活動」では、対象者と交流できるのに対し、「機械を介して対象者の様子を確認する活動」では、異常時にしか直接的な関わりがなかった。見守りを受けるために対象者が行う行動について、「サロン活動」、「血圧計や体重計等の測定機器を用いる活動」、「スマートフォンや固定電話を用いる活動」では、対象者が行う行動があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度に地域見守り活動の文献検討を行った事により、以下の三点が整理できた。まず、見守り活動は、活動で把握される内容、対象者と見守りを行う人との関わり方、見守りを受けるために対象者が行う行動があるかで特徴が異なっていた。特徴の違いは、どのような見守り活動が対象者に適するかの指標として活用できる可能性がある。次に、対象者と見守りを行う人の関わりに濃淡があった。関わりが濃い活動は、対象者の孤立予防に寄与できる可能性がある。最後に、見守りを受けるために対象者が行動する必要のある活動があった。対象者が行動する必要があることは、対象者の新たな役割となる可能性がある。活動内容やその特徴が整理されたことで、研究しようとする見守りが、多様な見守り活動のどの部分に位置づく活動であるかがより明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年は東日本大震災の被災自治体の災害公営住宅等、仮設住宅を退去した住民や、仮設住宅で見守りを実施した民生委員、生活支援相談員、社会福祉士、保健師等に仮設住宅での見守りの意味や効果に関するフォーカスグループインタビュー行い、東日本大震災の被災自治体における見守り活動の効果を検討する。
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Research Products
(1 results)