2018 Fiscal Year Research-status Report
International comparative research on health among family caregiver and care recipient at home
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18K17603
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
龍野 洋慶 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (70782134)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 在宅介護 / 家族介護者 / 睡眠 / 国際比較研究 / 縦断研究 / 介護負担 / ポジティブ感情 / 主観的well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化の国際的動向はアジア諸国においても日本をはるかに上回るペースで高齢化が進んでいる。特に台湾では2018年に総人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合が14%以上の高齢化社会、2025年には21%以上の超高齢社会になることが見込まれ、日本を上回るペースで高齢化が進むことが予測されている。本研究は次の2つの計画、①在宅における家族介護者の睡眠状況と介護負担感や家庭血圧について客観的デバイスを用いた中長期的な追跡調査を実施し因果関係を検証する、②台湾(台北医学大学)との二国間比較調査を行い日本だけではなく国際的な高齢者支援のあり方を検討し、長寿社会に貢献する施策のための知見を提示することを目的とし研究を開始している。①においては2017年以降、本研究に参加している研究対象者の1年後の追跡調査を本学において倫理審査の承認を得た後に2018年より開始している。更に対象者数及び時点数を更に加えるため2018年に新規対象者を追加した。今後2019年に1年後の追跡調査を予定している。ベースラインの研究結果については国際学会で発表を行い、その内容を現在英語雑誌に投稿中であり、概ね予定通り進捗している。②においては、2018年より台北医学大学のChung教授らと共に国際比較研究の準備を開始し、質問紙や研究プロトコルについての打合せを継続的に行い、2018年末に台北医学大学におけるIRBを提出した段階であり、2019年には予定通り台北で同様のプロトコルで調査が開始できる見込みであり、こちらも概ね予定通り進捗している。加えて共同研究者よりインドネシアにおいても国際比較できるよう現在調整がなされており、少なくとも3カ国間での比較が見込まれる。研究成果としては前述のベースラインのデータと多時点での追跡データを分析して睡眠と介護負担感や心理尺度とのマルチレベルでの因果関係を報告できる段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したとおり、①在宅における家族介護者の睡眠状況と介護負担感や家庭血圧について客観的デバイスを用いた中長期的な追跡調査の実施、②台湾(台北医学大学)との二国間比較調査を行い、日本だけではなく国際的な高齢者支援のあり方を検討し、長寿社会に貢献する施策のための知見を提示することを目的とし①と②を平行して進めている。。①においては2017年以降、本研究に参加している研究対象者の1年後の追跡調査を本学において倫理審査の承認を得た後に2018年より開始している。更に対象者数及び時点数を更に加えるため2018年に新規対象者を追加した。今後2019年に1年後の追跡調査を予定している。ベースラインの研究結果については国際学会で発表を行い、その内容を英語雑誌に投稿中であり、概ね予定通り進捗しているが、加えて2019年の国際学会においては台湾の研究者、日本の研究者と共にThe Experience of Family Caregivers: Longitudinal and Diary Methodsをテーマに演題を応募し、シンポジウムの演題発表者のひとりとして本研究結果からWithin-Caregiver Relations between Care Burden, Negative Affect, and Sleepのテーマで発表を目指している。本研究は既に25組の家族介護者とその被介護者の協力のもと合計751時点のデータ収集及びデータセット作成が2018年度のうちに完了しており今後、変化の個人差要因などを詳細に分析が可能である。。②においては、2018年より台北医学大学のChung教授らと共に国際比較研究の準備を開始し、質問紙や研究プロトコルについての打合せを継続的に行い、2018年度末に台北医学大学におけるIRBが提出できた段階であり概ね順調な進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の研究の推進方策について、目的①と②に分けて以下を予定している。①の本邦においては2019年度に1年後の追跡調査を予定している。1年後のデータをアウトカムとした中長期的な因果の検証が可能なだけではなく、季節変動や被介護者や家族介護者の変化に伴う個人内の変動要因を多時点でも分析が可能となる。ベースラインの研究結果については睡眠と心理尺度、起床時血圧との関連について国内国際学会に既に演題を応募しており、研究成果の報告を数多く実施していく予定である。その内容の一部は現在英語雑誌に投稿中であり、2019年は査読審査への対応など予算に計上した計画が概ね予定通り進捗することが見込まれる。②の国際比較研究については、特に台北医学大学のChung教授らとの研究調査に重点がおかれることが見込まれ、2018年に予定していた台湾出張の予算を2019年に繰り越して対応することとした。既に提出された台北医学大学におけるIRBが承認された後、早ければ今夏には概ね40組の研究対象者数を目標に台北の地域在住高齢者とその家族介護者への訪問調査を開始する。台北に加えて研究に参加することとなったインドネシアにおいて質問紙の感度解析も並行して調査を実施する予定である。2019年に調査の実施及びデータセットの入力作業を進めることが本科研課題における2019年の予定であり、そのための2018年の準備は概ね順調に進んだといえる。国際比較により日本と近年介護保険法が施行されたばかりのアジア地域のひとつである台湾における現状の比較は、双方にとって有益な情報を得ることができ、日本の介護保険施策に対してもアジア諸国との違いを明らかにすることで提言が可能となる。国際比較の研究結果については、2019年度以降も引き続き国際学会及び海外雑誌への投稿を予定しており、オーサーシップについての打ち合わせを今後進める予定である。
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Causes of Carryover |
本科研課題の平成30年度の研究計画の実施による予算の執行において、本科研課題が国際比較研究であるため台北医学大学のChung教授研究グループと研究計画の打合せを行うにあたり、研究計画当初は台北医学大学に訪問して打合せを行う予定であった。しかし、便宜的にSkype・ビデオチャットによる打ち合わせが可能となり、更に研究協力者(台北医学大学)の学内における積極的な計画の準備が進んだため、平成30年度の打ち合わせにおける現地へ訪問するために計上した旅費が平成31年度に移行することとなった。また、IRBを平成31年3月に研究協力先(台北医学大学)で提出となったため、現地での研究準備における人件費・謝金の発生も平成31年度に移行することとなった。今後、平成31年4月に台北医学大学においてIRBが承認される予定であり、それに伴い平成31年4月以降に当初予定していた平成30年度の旅費、人件費・謝金が発生する運びとなったため、次年度使用額が生じることとなった。加えて、研究協力者にインドネシア大学の研究者が協力可能となったため、インドネシアへの出張も平成31年度に必要となった。そのため平成30年度に執行予定であった人件費・謝金が平成31年度のインドネシアにおける調査に使用することとなったため、次年度使用額が生じることとなった。
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Research Products
(8 results)