2018 Fiscal Year Research-status Report
民生委員を対象にした精神障害者が生活し続けるための地域づくりプログラムの開発
Project/Area Number |
18K17605
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
磯村 聰子 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80437623)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 近隣トラブル / 民生委員 / 保健師 / 連携 / 地域づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究の目的は、民生委員を対象とした「精神障害者が生活し続けるための地域づくりプログラム」を開発することである。平成30年度は「近隣トラブルを抱えた精神障害者(以下、精神障害者)へ関わる民生委員と保健師の連携」を実施した。 【方法】A県保健師を対象に、2019年2月~3月に質問紙調査を郵送法にて実施した。質問紙の構成は、基本属性、精神障害者へ関わる民生委員との連携16項目とした。単純集計後、精神障害者への対応経験がある者での保健所と市町保健師の連携の差についてt検定を行った。 【結果】質問紙は554配布し174を有効回答とした(有効回答率31.4%)。市町128名(73.6%)、保健所25名(14.4%)、県庁9名(5.2%)、中核市7名(4.0%)であった。年代は多い順に、40歳代53名(28.6%)、50歳代50名(27.0%)、30歳代40名(21.6%)、20歳代31名(16.8%)、保健師経験年数は平均19.1±11.76年であった。精神障害者への対応経験は、保健所21名(84.0%)、市町91名(73.3%)、中核市4名(57.1%)、県庁9名(100.0%)であった。「症状が不安定な時の関わり方を助言」「緊急性がないケースは数日様子を見ることを提案」「一緒に関わることを相談されたが状況を判断し断った」で、保健所保健師が有意に高く、「一緒に訪問」「精神障害者の空き家の対応を相談される」「会議や研修会で民生委員と交流できる場に参加」で市町村保健師が有意に高かった。 【考察】精神障害者への対応経験は、保健所・市町ともに7割を超えたが、市町と保健所では、対応の特徴が異なると示された。市町では、事例を通して民生委員と一緒に活動し、保健所では民生委員からの情報を通じて、事象の緊急性を判断しているという特徴を有したが、自治体保健師の役割機能にも依拠するとも考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度の計画は「地域づくりプログラム」の原案を構成することであった。地域づくりプログラムは、当初、民生委員の学習の場と捉えていたが、30年度の調査結果から、民生委員と保健師の連携体制、連携の意識を醸成していくための交流、協議の場の要素が必要であることが示唆された。よって、目標達成に向けてやや軌道修正が必要なため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、自治体保健師の役割機能、精神障害者に関わる民生委員との連携上の役割分担を明確にした地域づくりプログラムの内容の検討が必要である。民生委員と保健師の連携体制、連携の意識を醸成していくため、保健師と民生委員の交流、協議の場において、「地域づくりプログラムの試行」が可能な現場を公募し、同意が得られた自治体保健師と協働して研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
アンケート調査の回収数が見込みよりも少なく、入力・分析に伴う諸経費の支出が予定よりも少なくなったため未使用額が生じた。この未使用額は、平成31年度の研究費と合わせて、地域づくりプログラムの原案作成、試行に係る旅費、消耗品にの購入に充てる。
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