2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of needs of newly designated "nanbyo",specific diseases patients in the community, living support and health guidance
Project/Area Number |
18K17613
|
Research Institution | Asahikawa University |
Principal Investigator |
羽原 美奈子 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (30279434)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 指定難病 / 自己免疫疾患 / 保健指導 / 感染予防 / 医療確保 |
Outline of Annual Research Achievements |
難病法施行前後の指定難病患者数の推移を医療費受給者証取得数から見てみると、難病法施行後の北海道では、以前の特定疾患56疾患登録者数が減っている現状があった。死亡以外で受給者数が減っているとすると、なぜ減っているのか、たとえば難病が治った訳ではないのに症状軽度(予後が良い)という理由で、指定難病の対象枠から外されている場合もあるのではないか(例:ギランバレー症候群)。自ら申請を中断したとしても医療や福祉から難病患者が遠ざかる心配がある。また、支援を行う側も対象者について把握手段を失う。この受給者証取得数について、増減の経過や推移だけではなく、特に指定から外れた疾患患者に関して状況を把握していく必要性が示唆された。 次いで、難病法施行前の特定疾患から新たに新規指定難病として指定された疾患にはどのようなものがあるのか、指定難病医療費受給者証取得数統計から概観した。北海道では、新規指定難病の医療費受給者証所持者数の多い順に①シェーグレン症候群、②自己免疫性肝炎、③多発性嚢胞腎、④IgA腎症、⑤一次性ネフローゼ症候群、⑥成人スチル病、⑦好酸球性副鼻腔炎、⑧好酸球性多発性血管性肉芽腫症、⑨筋ジストロフィ、⑩IgG4関連疾患、の順であった(平成30年度末)。これらは全国統計(厚生労働省衛生行政報告例平成30年度末)とほぼ同様の疾患傾向であった。これらの疾患は自己免疫疾患と呼ばれるもの、免疫系の異常を伴う慢性疾患として、日常から長期にわたる治療にステロイド薬及び免疫抑制剤を用いている場合がある。ここへ来て2019年年末からの新型コロナ感染症の流行がある。医療依存度が高い難病患者(この場合、新規指定難病、旧来からの指定難病に関わらず、難病全体)の生活に与える影響は、当然大きいことが予測される。今後は指定難病患者の感染予防、また医療体制確保についても広く、調査して考えていく必要性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度末からの新型コロナ感染症の感染拡大防止のため、難病患者の生活の実態が最も把握できる個別聞き取り調査は断念した。2020年度は本調査研究においても、まさにパンデミック対策を考え、安全を考慮し文献やネット上の資料収集などで終始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
面接聞き取り調査から別の調査方法へ切り替え、コロナ禍における難病患者の生活上の課題として①疾患と生活状況 ②医療の確保状態 ③QOL上の課題 等の内容を調査し分析する。対象は新規指定難病に限らず、これまでも医療依存度が高いといわれる疾患(神経難病)をも含め、現在のコロナ禍に広く、患者の生活状況を考察検討する。また、保健医療福祉分野にまたがり、地域包括ケアとしての難病患者に役立つ研究となるよう臨みたい。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のため、研究はほとんど情報収集に終始し調査出張など大きく制限され当該助成金が生じた。研究使用できなかった旅費の多くは、翌年度分最終年度の請求助成金とともに、「コロナ禍における難病患者のQOL研究」調査費用として活用したい。面接聞き取り調査ではなく、アンケート等難病患者のニーズを聞き取る調査として郵送・通信費、その他に活用する。
|