2019 Fiscal Year Research-status Report
虚弱高齢者の余命予測を確実にするための指標の開発―日常生活の観察データを用いて
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18K17623
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
川上 嘉明 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (20582670)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エンドオブライフ・ケア / 看取り / BMI / 予後予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工的栄養水分補給法を行わず死に至ったナーシングホームの高齢者106名について、死の5年前からの平均BMI、平均エネルギー摂取量について、各々低体重と判定される18.5kg/m2、基礎代謝量である830kcaLの基準値を有意に下回った月を求めた。さらに平均水分摂取量を加えた3者のパラメータについて、死亡前1年間とそれ以前の1年間の変化量についてROC解析による有意差とカットオフ値を求めた。 その結果BMIは死亡9ヵ月前から、エネルギー摂取量においては死亡直近時において基準値を有意に下回っり(<0.001)、BMIがエネルギー摂取量に先行して減少した。ROC解析では3者のパラメータの変化量について有意差が検出され(<0.001)、死亡前1年間とそれ以前の1年間の変化量のカットオフ値は、BMIが1.7kg/m2、、エネルギー摂取量が300kaL、水分摂取量が126mLであった。 1年以上のタイムスパンで低下するBMIの変化量と、それより遅れて1年間に低下するエネルギー摂取量における変化量、さらに死亡直近時に急減する水分摂取量といった各パラメータは、予後予測に有効な因子であると考えられた。 上記については,”Changes in Body Mass Index, Energy Intake, and Fluid Intake over 60 Months Premortem as Prognostic Factors in Frail Elderly: A Post-Death Longitudinal Study”, Int. J. Environ. Res. Public Health 2020, 17(6) (査読有)で公開された。また,救急医学9月号(へるす出版),食と栄養Vol.11(講談社),『死とは何か』(Newton)においても,その研究の一部が公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象施設となっている高齢者ケア施設が,2020年3月より第三者の入館を禁止しているため,データ収集,現地でのデータクリーニングや進捗管理等ができない状態となっている。再開の目途がたっておらず,今年度の進行スケジュールが見通せない状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象施設となっている高齢者ケア施設において,データ収集,現地でのデータクリーニングや進捗管理等が再開可能となり次第,それらを継続する。 現在データ収集を行っている高齢者介護施設(東京都内2ヵ所,埼玉県内1ヵ所,千葉県内2ヵ所,神奈川県内1ヵ所:いずれも100床以上)における入居者について,経時的なBMI,食事摂取量,水分摂取量の推移(絶対量,または変化量)についてデータ収集を行う。 本研究期間内における生存者を対照群,また同期間内の死亡者を実験群として,各パラメータの暦月ごとの平均値について,ウエルチのt検定を適用し有意差を求める。また、どのぐらいの変化量をもって死が迫っているといえるのか、より死亡が迫っていることの予測能とカットオフ値をROC解析より算出する。さらにロジスティック回帰分析を適用し、各パラメータの変化量と死亡の関係の強さを検証する。 最後に、BMIの栄養状態を示す基準において18.5未満はUnderweightとされていることから、入所時のBMIが18.5未満の者とそれ以上の者の2群にわけカプランマイヤーの生存曲線を求め、観察期間内においける生存率、生存期間の中央値、両群の有意差検定についてログランク検定を用いて行う。 その結果については学術専門誌に発表をする予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度内に予算執行したものについて,支払いが年度を超えて行われたため。
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[Book] 認知症の緩和ケア2019
Author(s)
平原佐斗司、桑田美代子 一部執筆:川上嘉明
Total Pages
279
Publisher
南山堂
ISBN
978-4-525-38161-5