2020 Fiscal Year Research-status Report
虚弱高齢者の余命予測を確実にするための指標の開発―日常生活の観察データを用いて
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18K17623
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
川上 嘉明 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (20582670)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エンドオブライフ・ケア / 看取り / BMI / 予後予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去10年間の間に,特定のナーシングホームに入所した267名のうち,研究対象とした228名の高齢者について,入所期間中におけるBMI,およびエネルギー摂取量の推移について調査した。その平均BMIは入所後から減少する一方,エネルギー摂取量については死の前4ヵ月にBMIの減少率を上回り減少することが統計解析により明らかにされた。 この時点を死に至る高齢者の”point of no return”と仮定し,その時のBMIと体重当たりのエネルギー摂取量(kcaL/kg)をもとに,入居直後の研究対象者をグループ化した。そして,生存時間分析,Log Rank (Mantel-Cox)により検証をおこなったところ有意差が検証され,予後予測に関するリスクアセスメントとしてBMIおよび体重当たりのエネルギー摂取量(kcaL/kg)を評価することの有効性が示された。 これらの検証によりナーシングホームで死に至る要介護高齢者は,エネルギー摂取量が一定であってもBMI, つまり体重は減少すること,また死の数ヵ月前からはエネルギー摂取量の減少率がBMIの減少率を上回ることから,この時点を”point of no return”として予後予測をすることで,死を迎えるための準備が可能であることが示唆された。 現在,海外ジャーナルへの投稿が進んでいるが,上記の一部の結果については,保健の科学(杏林書院, 2021; 63: 169-173),『死を科学する』(別冊Newton, 2021; 第2版)において公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究対象施設となっている高齢者ケア施設が,2020年3月より第三者の入館を禁止しているため,データ収集,現地でのデータクリーニングや進捗管理等ができない状態となっている。進行スケジュールが見通せない状態となっているが,データ収集の方法を変更することで研究を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象施設となっている高齢者ケア施設について,データ収集の方法を変更し研究を継続している。 現在収集の見通しが立っているサンプル数の300例以上をもとに,高齢者施設で死亡した高齢者の各パラメータの統計解析により,とくにBMI,摂取カロリー量等,地域のケア現場でも簡易に得られるパラメータの中長期的推移を見ることにより,死亡の予後予測がより高い蓋然性により適切にできることを明らかにする。 すでに収集されたサンプルから,予後予測をするにあたり確度の高い結果が得られており,海外ジャーナルへの投稿を進めている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響により,研究対象施設である高齢者看護施設への訪問,意見交換,データ収集がすべてキャンセルされ,旅費,謝金,ジャーナルへの投稿費用等の支出ができなかった。徐々にデータ収集のための訪問ができるようになっており,旅費,データ分析費用,ジャーナルへの投稿費用への支出を計画している。
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