2018 Fiscal Year Research-status Report
視線運動分析に基づく看護職と介護職の高齢者理解プロセスの解明
Project/Area Number |
18K17628
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
山田 千春 兵庫医療大学, 看護学部, 講師 (00510869)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 視線運動分析 / 高齢者理解 / 日常生活 / 看護職 / 介護職 |
Outline of Annual Research Achievements |
協同しながら日常生活ケアに従事する看護職と介護職が、高齢者の生活場面をどのような視点で捉え、そこから何を思考し、ケアに結びつけているのかという研究課題を進めるために、過去に眼球測定器を用いた先行研究の文献検討を行った。文献検索には、医学中央雑誌ver.6を用いた。眼球測定器を用いた研究は少なく看護職は17件、介護職は0件であった。そのため、介護職については生活場面をどのような観察の視点で捉えているのかが分析されている18件を取り上げ検討した。 看護職の研究に関しては、眼球測定器による視線運動データが医療現場における危険認知力や熟達した能力を要求される看護実践力を分析するために活用されているということがわかった。看護職は、対象者の病院内での生活状況や健康状態に視線を向けており、視線からは、半数以上が患者もしくは患児を対象にその健康状態を把握することや、転倒や転落などの要因に気づき事故を予防することなど、医療現場における看護技術や実践を明らかにした研究であった。しかし、施設や在宅など高齢者が日常生活を営む場で看護を明確にする研究はなかった。 また、介護職の研究に関しては、眼球測定器によるデータはなく、参加観察や聞き取り調査、質問紙調査からケア時に何を観察しているのか、そこから何を思考しているのかを分析したものであった。介護職が観察の視点としてあげた内容は、対象者の基本的日常生活動作、加齢に伴う症状、疾患や障害による症状、感情などであった。介護職は、対象者の細かい変化や状況特有の症状を普段の様子との比較から、変化や異常を捉えていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象者である看護職、介護職に閲覧していただく画像の制作が遅れている。画像内で生活場面を撮らせていただく高齢者の募集方法や場面設定、倫理的に配慮する内容の検討が遅れ、2ヶ月に1度の倫理審査委員会への申請が遅れてしまい、画像制作が次年度に持ち越されることになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、研究対象者に閲覧していただく高齢者の生活場面の画像を制作し、実際に研究対象者を募り、その画像を観てもらい、その際に得られた眼球運動を計測したデータを分析する。 そのためにまず、視線運動の分析結果を効果的に示すことができる生活場面を検討する。また、生活場面の撮影にあたっては、生活場面のシナリオを作成し、高齢者のモデルの方に生活する様子を演じてもらい、それを撮影し、編集し、画像を制作する。 数カ所の介護老人保健施設に研究協力を依頼し、看護職および介護職の方に研究対象者として協力をお願いする。研究対象者の方に、眼球運動測定器を用いながら映像を閲覧していただき、そのデータを注視点、停留点、視線順路などを視点に分析する。
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Causes of Carryover |
2018年度は、文献検討したものを学会発表し、その結果をもとに効果的に視線運動分析を行うことのできる画像を制作する予定であった。そのため、画像制作に協力していただく高齢者モデルへの人件費や、その撮影データを整理するメモリー類や文具等を購入するための消耗品費を計上していた。しかし、画像制作が2019年度に持ち越された。そのため、その分の人件費、消耗品費等を繰り越すことになった。 2019年度は、繰り越された人件費、消耗品費を使用して、画像制作を進めるとともに、物品費を使用して眼球運動計測器を購入し、実際に画像閲覧時の眼球運動測定実験を行っていく。
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Research Products
(2 results)