2019 Fiscal Year Research-status Report
視線運動分析に基づく看護職と介護職の高齢者理解プロセスの解明
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18K17628
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
山田 千春 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (00510869)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 視線運動分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究対象者である看護職、介護職に閲覧してもらう高齢者の生活場面(食事、洗面、歩行、ベッド移動、車椅子移動、談笑、余暇活動)の動画および静止画を高齢者モデルに依頼し、撮影を行った。画像については研究対象者に閲覧用に、閲覧箇所、閲覧時間、閲覧コマ数等を検討し、編集を行った。当初の研究方法では、静止画のみの閲覧を予定していたが、プレテストを行った際、動画の方が場面の理解がしやすいとの意見があっため、動画および静止画の閲覧画像を準備した。研究協力の得られた看護職8名、介護職8名、一般人8名に、眼球運動測定装置(Talk Eye Free.竹井機器工業)を用いて、編集した生活場面の画像を閲覧してもらい、視線の注視点、視線経路、停留時間、停留回数等を測定した。閲覧後は、視線を向けた理由や普段の視線を向けるポイント等についてインタビューによるデータ収集を行った。収集したデータについては対象者ごとにインタビュー内容も含めて整理した。インタビュー内容の分析中であるが、現時点では職種によるはっきりとしたデータの違いを限定することはできないが、これまでに高齢者と接してきた経験だけではなく、その人の生育歴の中での経験の違いが視線を向ける注視点に影響している可能性があること、転倒や誤嚥などの高齢者に起こりやすい事故で、特に施設内でも普段から注意を受けている点については視線を向けること、視線をむけている箇所での観察の視点には経験の差が影響している可能性があることが認められる。 2020年度は、眼球運動測定装置から得られたデータを眼球運動統計プログラムⅡを用いて、データ解析を行う計画である。分析ポイントとして、計画当初からの視線を向ける注視点等だけではなく、注視点から視線を外す点など、画像上の高齢者の行動に合わせて、どのような視線の変化があるのかも、分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、予定していた研究対象者数のデータ収集が終了し、データ整理の作業に入っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、得られたデータを眼球運動統計プログラムⅡを用いて、データ解析を行う計画である。主に、視線の注視点、注視経路、停留時間、停留回数のポイントで分析するとともに、視線が外れるポイントの分析も行っていく。また、画像によっては、高齢者の行動の前半と後半など時間や動作で区切って職種ごとに比較する予定である。 分析結果については、高齢者ケアに精通している研究者からの意見も伺いながら、検討していき、論文として学術学会へ発表し、現場への研究結果の還元を予定している。
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Causes of Carryover |
今年度、インタビュー内容の逐語録の作成において、業者利用を検討していたが、新型コロナウイルス感染の影響で、施設内の立入り自粛および禁止の措置がとられたため、関係業者との接触がかなわず、自力で逐語録の作成作業を行ったため、一部使用予定金額に残金が生じた。 次年度は、分析作業を進めていき、結果を学会等で発表していくことを計画しているため、その作業と旅費等の代金として使用を計画している。
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