2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K17629
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| Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
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Principal Investigator |
八谷 百合子 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (40441852)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 見守り / 認知症 / 無線ネットワーク / ZigBee / 介護施設 / 入院患者 / 位置情報 / 遠隔画面 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
中央社会保険医療協議会平成26年度入院医療などの調査報告によると、身体疾患で一般病院に入院中の患者のうち、認知症患者の割合は約2割、療養病棟においては6割以上にのぼり、病棟を抜け出し所在不明となる認知症患者の増加が問題となっている。認知症患者の探索は看護師が行っているが、探索時間が増加し看護ケア時間を圧迫している。本研究は「レスキュー隊員の救助活動支援システム用無線ネットワークシステム」を応用し、患者見守りシステムの開発を行うものである。
まず、2018年4月より患者に携帯してもらう無線デバイスを開発した。2018年12月より大学構内に複数の中継器を配置し、無線デバイスの通信状況と測位精度を検証した。
次に、2019年1月に介護福祉施設内において、対象者に無線デバイスを携帯して貰い、対象者の位置情報を推定する患者見守りシステムの実証予備実験を行った。その結果、ネットワークが構築できており、無線デバイスの情報をリアルタイムに取得し続けることができた。また、対象者の実際の動きを記録し推定した位置情報と比較した結果、施設内の人や物によって、無線デバイスから発信される電波の遮蔽が頻繁に発生し、約10％のパケット損失が発生した。測位精度においては、本研究が提案するKDE法の推定精度が69.2％～72.8％であった。ルータの位置の最適化や設置数の増設などを行い、パケット損失や測位精度の改善が課題と思われた。
そこで、2019年4月より無線デバイスのパケット損失や測位精度を改善するために、無線デバイスの改修を行った。現在、本研究が提案するKDE法（カーネル密度推定法）とWAV法（重み付き重心法）やLSQ法（最小二乗法）による推定法とを比較し、測位精度を改善中である。
今後は、その結果をもとに改修した無線デバイスを使い、小規模病院にて患者探索試験を実施する予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた[平成30年度の計画]の位置情報を収集するためのエンドデバイスの作成は、2018年4月より取り掛かり概ね実施できた。試作した無線デバイスを使って、2018年12月より大学構内にて遠隔監視実験を行い実用に耐えるか検証した。その結果、概ね位置情報を収集できた。次に介護福祉施設内において、対象者に対して試作した無線デバイスを携帯して貰い、対象者の位置情報をリアルタイムに推定する遠隔監視システムの実証予備実験を行った。その結果、通信状況は、安定した状態でネットワークが構築できていた。パケット損失率は11.1％であり、予定の5％以下にはならなかった。本実験環境では、多くの入居者がおり、又、机なども設置されているため、無線デバイスから発信される電波の遮蔽が頻繁に発生し、パケット損失が発生したと考えられる。測位精度については、本研究が提案するKDE 法の推定精度が69.2％～72.8％であった。測定時間帯において、多数の人の動きがあったため、推定結果に影響が出てしまい一部の測位の失敗に繋がったと考えられる。ルータの位置の最適化や設置数の増設などを行い、パケット損失や測位精度の改善が課題と思われた。
次に予定していた[平成31（令和元）年度の計画]は、平成30年度の課題となったパケット損失や測位精度の改善を目指し2019年4月より取り取り掛かった。本研究が提案するKDE法（カーネル密度推定法）とWAV法（重み付き重心法）などによる推定法と比較し測位精度を改善中である。ただ、予備実験でルータの配置箇所の選定などによる無線ネットワークシステムの通信の安定性向上を行う予定であったが、新型コロナウイルス肺炎の感染予防のため、屋内や屋外で予備実験を行うことができなかった。令和2年度には、予備実験を行い、改修した無線デバイスを使い、小規模病院にて患者探索試験を実施する予定である。
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| Strategy for Future Research Activity |
[令和2年度の計画]については、次のように計画中である。[平成31（令和元）年度の計画] の課題となったパケット損失や測位精度の改善のため、本研究が提案するKDE法（カーネル密度推定法）とWAV法（重み付き重心法）などによる推定法と比較し測位精度を改善し、予備実験でルータの配置箇所の選定などによる無線ネットワークシステムの通信の安定性向上を行う。予備実験は、新型コロナウイルス肺炎の感染予防の状況を確認しつつ、屋内、屋外の環境を考え実施する予定である。その実験結果をもとに、完成した無線デバイスを使い、小規模病院にて患者見守りシステムを使用した患者探索試験を実施する予定である。小規模病院は、北九州市内の病院であり無線デバイスが医療機器に影響がないことを説明して既に実験実施の内諾を得ており、新型コロナウイルス肺炎の感染予防の状況を見ながら実施に向けて調整する予定である。
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| Causes of Carryover |
[平成30年度の計画]の実験後の課題となった、パケット損失率の低下と測位測定精度の向上のため、無線デバイスを改良していたが、改善するまでに時間を要した。ようやく、無線デバイスの改善が見られたので、[平成31（令和元）年度の計画]は、予備実験を行いルータの位置の最適化や設置数の増設などを行い、パケット損失や測位精度の改善を行い、無線デバイスを完成させる予定であった。しかし、新型コロナウイルス肺炎の感染予防のため、予備実験が実施できなかった。そのため、実験のため準備していた助成金が使用できず、次年度使用額が生じてしまった。そこで、次年度使用額を令和2年度に繰り越し、令和2年度中に小規模病院における患者見守りシステムを使用した患者探索試験を実施する際の費用に使用したい。
[令和2年度の計画]については、パケット損失や測位精度の改善のため、予備実験を行い、無線デバイスを完成させ、小規模病院における患者見守りシステムを使用した患者探索試験を実施する予定である。協力して頂く小規模病院にも内諾を頂いているが、新型コロナウイルス肺炎の感染予防の状況を見ながら、病院と連絡を取り病院に負担をかけないよう十分に調整し患者探索試験を実施するように計画中である。
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