2018 Fiscal Year Research-status Report
長期療養施設における看取りケアの質とその関連要因の検討
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18K17633
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森岡 典子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (70805746)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 長期療養施設 / ケアの質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、全国の長期療養施設における見取りを含む看護ケアの質とその関連要因を検討することである。この目的を達成するため、2018年度は、既存大規模データの収集によるデータベース構築と基礎資料となるデータ分析・成果発表を行った。 既存大規模データとして、全国の市町村データ、介護サービス情報公表システムの介護事業所および介護保険施設情報、DPCデータ、病床機能報告等を情報開示請求し、収集した。得られたデータを市町村番号や医療施設番号、介護保険事業所番号等を用いて連結し、独自のデータベースを構築することが出来た。 上記のデータベースを用い、地域における医療・介護提供体制の評価として、空間疫学の手法を用い、長期療養施設提供量が自宅死亡の代替となっており、長期療養施設が見取りの役割を果たしていることを示し、論文として成果発表を行った。介護保険施設におけるケアの質として、2018年度は身体拘束に着目し、身体拘束廃止の行政の取り組みについて公表資料をレビューしたほか、身体拘束廃止の関連要因として、施設単位での理念や取組み方針があることを明らかにした。これらの結果については、学会発表および論文として成果発表を行った。また、医療ビックデータの試行的な分析として、急性期の認知症ケアの質の検証に着目した。分析の結果、手厚い看護配置が患者アウトカムの改善に関連していることを明らかにし、現在、論文の投稿準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度には、既存大規模データの収集と基礎データ分析を実施し、学会発表および論文として成果発表を実施することができた。成果として、市町村単位での長期療養施設提供体制の充実は、自宅死亡の代替となっていることを空間疫学の手法を用いて明らかにした。さらに、既存の全国公表データを用いて、介護保険施設における身体拘束廃止の地域差を可視化するとともに、関連要因を明らかにした。また、医療ビックデータを用いた独自データベースの構築を進め、DPCデータを入手し、急性期病院における認知症ケアの質の評価として分析実施および論文執筆を進めている。以上のことより。当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、DPCデータを用いた解析手法を応用し、全国の介護レセプトと介護施設事業所調査を連結させた独自データベースを用い、介護保険施設におけるケアの質の可視化を行う予定である。また、人材育成にも焦点を当て、質の高い長期療養を支える看護人材の育成について、経営工学のシミュレーションを用いた学際的なアプローチを試みる予定である。
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Causes of Carryover |
論文掲載料を見込んでいたが、論文の査読に時間を要しており現在も査読中であるため。
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