2022 Fiscal Year Research-status Report
熟練訪問看護師の臨床判断モデルの開発ー新卒訪問看護師教育の開発に向けてー
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18K17647
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
山田 貴子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (30645536)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 訪問看護師 / 看護学生 / 疑似訪問場面 / 臨床判断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、熟練訪問看護師の観察スキルを可視化し、観察から臨床判断までの思考過程のモデルを構築することである。 本年度は、訪問看護師と看護学生の訪問看護の擬似場面における臨床判断の特徴を明らかにすることを目的とした。対象者は訪問看護ステーションに勤務し訪問看護経験が5年以上ある訪問看護師4名と、在宅看護学実習を履修したA看護系大学の4年次生4名とした。方法は、訪問看護擬似場面を対象者に観てもらい、何を臨床判断したかについて半構造化面接を実施した。インタビュー内容は対象者の許可を得てICレコーダーに録音した。インタビューで得られたデータを基に、対象者毎に逐語録を作成し、訪問看護擬似場面に対して臨床判断の内容について語られている部分を抽出し、それぞれコード化、サブカテゴリー、カテゴリー化を行った。分析の結果、訪問看護師からは49のコード、24のサブカテゴリー、7のカテゴリーが抽出された。看護学生からは32のコード、14のサブカテゴリー、6のカテゴリーが抽出された。訪問看護の擬似場面で訪問看護師は、療養者を幅広く捉える視点を持っており、さらに訪問看護師自身の【知識と経験を生かす】ことで身体状態と生活の【把握】、療養者の生活や生活で起こりうる危険、症状悪化の【推測・予測】をしていた。また、[前回の訪問と変化がないかの推測]、[生活に困難が生じていないかの推測]、チャイムがなってから玄関に出てくるまでの時間から[症状の進行具合の推測]をすることは、訪問看護師に特徴的な臨床判断であった。一方で看護学生は、療養者の逸脱している状況について情報を収集し、日常生活の自立度を判断する特徴があった。また、訪問看護師の【他職種と協働した介入】を検討しており、療養者を地域で生活している人として捉えた内容であった。一方で看護学生は、療養者の屋内での日常生活に対する介入の検討が多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、covid-19の影響により協力が得られた対象数が少なかったため、2023年度は対象数を増やしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、covid-19の影響により可能な範囲で調査を実施した。2023年度は、熟練訪問看護師と看護学生の対象者数を増やし準実験研究とインタビュー調査を行い、観察から臨床判断までの思考過程を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度はcovid-19の影響により調査が少なかったため、経費をあまり使用しなかった。次年度は調査実施のための経費、解析ソフトなどを購入予定である。
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