2019 Fiscal Year Research-status Report
東京都受動喫煙防止条例の職場の禁煙化への影響と禁煙化推進のための教育教材の研究
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18K17651
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
斎藤 照代 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 准教授 (10783839)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東京都受動喫煙防止条例 / 職場の受動喫煙対策 / 禁煙化施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東京都受動喫煙防止条例施行による職場の受動喫煙対策の変化を調査し、職場の禁煙化に繋がる施策の在り方を考察し、全国への展開のための基礎資料となることを目指すとともに、職場の禁煙化に向けた効果的な推進方法の詳細を明らかにし、それぞれの職場への普及のための教育教材の開発を目的とし実施された。研究初年度の2018年度は、2020年の東京都受動喫煙防止条例施行前の職場の受動喫煙対策の現状を調査した。一定の回答は得られたが、2019年度は、さらに調査の範囲を拡大した。 1.方法 1)東京管内の事業所約4100施設に質問紙調査票を配布し、505事業所から回答が寄せられた。2)結果:回答した企業は、業種別では、建設業、製造業、卸売・小売業の順で多く、規模別では、従業員300人未満の企業が402(79.6%)施設、300人以上の企業101(0.2%)施設であった。受動喫煙対策は、建物内全面禁煙148施設(29.3%)と最も多く、次いで、喫煙室設置が141施設(27.9%)、喫煙コーナー108施設(21.4%)と続いた。禁煙化施設(就業時間内禁煙、敷地内禁煙、建物内禁煙、自社専用部分禁煙)は合わせて、48.6%であり、禁煙以外の施設(喫煙室、喫煙コーナー、受動喫煙対策なし)は合わせて、51.2%であった。また近年、日本での普及が著しい加熱式たばこへの対策は、通常のたばこと同じ対策をしているとの回答が428(84.8%)施設と大半を占めた。一方、対策はしていない(自由に吸える)も47(9.3%)施設であった。詳細な質問項目の分析に関しては、現在、研究者間で分担し分析を進めている。 2 インタビュー調査について 対象は、規模・業種別(一般企業・飲食店)に選出し、インタビュー調査を実施した。10事業所のインタビューが終了し、研究者間で分担し分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 質問紙調査について 1)2019年度は、主にメールにて審議を行い、質問紙調査の内容の検討を行った。2)配布状況:東京管内の産業保健機関に調査への協力を依頼し4100事業所へ質問紙調査を実施した。505事業所から回答が寄せられた。3)分析状況:回答した企業は、回答した企業は、業種別では、建設業、製造業、卸売・小売業の順で多く、規模別では、従業員300人未満の企業が402(79.6%)施設、300人以上の企業101(0.2%)施設であった。受動喫煙対策は、建物内全面禁煙148施設(29.3%)と最も多く、次いで、喫煙室設置が141施設(27.9%)、喫煙コーナー108施設(21.4%)と続いた。禁煙化施設(就業時間内禁煙、敷地内禁煙、建物内禁煙、自社専用部分禁煙)は合わせて48.6%であり、禁煙以外の施設(喫煙室、喫煙コーナー、受動喫煙対策なし)は合わせて51.2%であった。詳細な質問項目の分析に関しては、現在、研究者間で分担し分析を進めている。5月中には、分担作業を終了し6月には全体のまとめを終了する予定である。 2 インタビュー調査について 1)2019年度は、メール審議を実施し検討を行い、新たにインタビューと分析を実施した。10事業所のインタビューが終了した。現在、録音データより逐語録が起こされ、質問紙調査同様、6月を目処に全体の分析を終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、東京都受動喫煙防止条例施行による職場の受動喫煙対策の変化を調査することで職場の禁煙化に繋がる施策の在り方を考察し、全国への展開のための基礎資料となることを目指している。また職場の禁煙化に向けた効果的な推進方法の詳細を明らかにし、それぞれの職場への普及のための教育教材の開発も予定している。研究2年目の2019年度は、さらに調査の対象を拡大して実施し、2020年の東京都受動喫煙防止条例施行前の職場の受動喫煙対策の現状を調査した。505事業所から回答が得られ、現在、研究者間で分担し詳細な分析を進めている。また、当初、2019年度実施予定であった、インタビュー調査も合わせて分析し、両者から得られたデータを基に職場の禁煙化普及に向けた教育教材を開発する予定である。また、2020年度は、研修会の参加事業所を選出し、事業所内の空気環境をたばこPM2.5で評価し禁煙化の動機付けとして活用予定である。 2020年度は作成した教材を、禁煙化されていない事業所を無作為に2群に分け、研修実施群には同意を得たうえで、作成された教育教材を活用した職場の禁煙化の推進を目指す研修会を実施する。また研修会実施直後に満足度や今後の禁煙化への予定や意欲等を評価する。 2021年は、研修実施群と未実施群に対し1年後の禁煙化への取り組み状況を調査し、教材の有用性を評価する。 さらに東京都受動喫煙防止条例施行1年後の東京における事業所の受動喫煙対策の実態を自記式質問紙により調査し、本条例が職場の受動喫煙対策に与えた影響 を明らかにし、職場の禁煙化に繋がる施策の在り方について考察する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は、アンケート調査を拡大し実施した。このため印刷費等が必要となった。また得られたデータを詳細に分析するため、分析にかかる費用と研究者間の情報交換を行うための会議の費用が計上されている。また、研究成果を各学会等で発表予定でもあるため、そのための旅費等も予定通り計上されている。
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