2018 Fiscal Year Research-status Report
都市部における「互助」の概念明確化と評価尺度の開発
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18K17656
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
井口 理 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (10513567)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 互助 / 都市部 / 地域包括ケアシステム / 概念分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】地縁・血縁が希薄化し、互いに助け合うことが難しいとされている都市部において「互助」とは何を指すのか、Rogersの概念分析の方法を参考に、都市部における「互助」の概念を検討する。 【方法】2019年3月にインタビュー調査を実施した。対象は、特別区2区の地域包括支援センターを利用している住民、ならびに包括支援センターのスタッフ、地域づくり活動を実践した経験のある行政保健師 計16名であった。調査内容は(1)今、お住まいの地域は(ケア・ワーカーに対しては、管轄の地域は)、ご近所どうしや、お知り合いとのやりとりが比較的多いエリアですか? (2)ご近所どうしや、お知り合いと「互いに支え合う」、とは具体的にどのようなことだと思いますか (3)あなたは、お住まいの地域で、ご近所の方やお知り合いと互いに支え合っている、と感じたことはありますか、等である。インタビュー内容はICレコーダに録音した後、逐語録を作成し文字データとし、語りの意味・内容の類似性に基づいてカテゴリ化し質的記述的に分析した。 【結果】詳細な分析は、現在試行中である。インタビュー実施後の所感となるが、都市部においては「余計なことをしない」「嫌がられない」ことを優先して「困ったことはありませんか?」と声をかける習慣は乏しい様子であった。「互いに支え合う」以前に、まずは知り合うこと、互いの存在を知ること、そのための「場」を提供する機関として、地域包括支援センターが機能していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他業務のため、本研究への着手が遅れた。そのため、概念の検討に必要なインタビュー調査の実施までは終えたが、結果の分析と概念の検討はこれから行うことになる。全体の遂行に支障を来すことがないよう、質問紙調査の回数を1回にして対応する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、質問紙調査をパイロットスタディと本調査の2段階で実施する予定であったが、研究協力の同意の確認手続きを丁寧に行うことにより、回収率を高く確保するよう試みることが可能と考え、1回の実施に変更する。 具体的には、2019年4~7月にインタビューの分析、質問紙調査の項目抽出、8~9月に質問紙の作成と研究協力依頼(往復はがき)の発送、10月に質問紙の発送、11~12月に質問紙の回収、2020年1月にデータ入力(業者依頼)、2月にデータ分析、3~7月にまとめと公表準備、 8月~公表、投稿する予定とする。
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Causes of Carryover |
業者に委託したインタビューのテープ起こしの納品が2019年4月になったため、約9万円の支出が2019年度に繰り越しとなった。 また、インタビューの対象人数は、当初20名程度を予定していたが、内容の飽和をみとめたため、16名で終了とした。インタビュー協力者への謝金が予定より少額となったことと、協力者の中で、2名は謝礼の受け取りを拒否し、1名は消耗品での受け取りのみ応じたため、人件費・謝金の予定額より少なくなった。 平成30年度の未使用額は176,733円、令和元年度の所要額780,000円、計956,733円が次年度使用額となる。内訳は、物品費(統計解析ソフトSPSS,Amos)200,000円、国内旅費(成果の公表)66,733円、謝金(研究協力謝礼)450,000円、その他(協力依頼往復はがき4万円、調査票の送付と返送200,000円)計240,000円である。
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