社会的包摂による「児童虐待の予防」を目指した地域における支援モデルの構築

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K17664
• Research Institution: Nagano University of Health and Medicine
• Principal Investigator: 川崎 千恵 長野保健医療大学, 看護学部, 教授 (80648212)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 社会的包摂 / 児童虐待 / 公衆衛生 / 地域

Outline of Annual Research Achievements

社会的孤立や社会的排除の状態にある乳幼児を育てる養育者を、社会に包摂すること（社会的包摂）による児童虐待の予防を目指した、保健師と地域の住民等の協働による支援モデルを構築し、支援のためのツールを開発するために、2019年度は第1段階の調査を実施した。
文献検討の結果に基づき、調査の概念枠組みを作成し、そのうえで自記式質問紙調査票を作成した。調査の目的は、養育者の孤立の実態と個人的背景を把握し、孤立と個人的背景の関連を明らかにすることとした。そのことにより、特に社会に包摂する支援が必要な対象集団・対象特性が明らかになり、孤立の要因へのアプローチ、社会的包摂に向けた支援方法を検討するための、基盤資料とするものとした。首都圏近郊および地方都市の市区町村保健師に調査協力を依頼し、乳幼児健診（集団健診）、子育て教室・子育て相談、家庭訪問時に調査書類一式（依頼文書、説明文書、調査票、返信用封筒）を配布してもらうか、乳幼児健診受診票等の発送時同封し配布してもらった。しかし、新型コロナウィルス感染症により、自治体の協力が十分得られず、有効回答者数800人を想定していたが、2019年度末時点で1/3程度に留まった。今後の感染症の終息状況によっては、自治体の協力が得られれば、調査を再開し協力者数の確保を図る。また並行して、第2段階の調査として、文献検討や地域の育児支援者・保健師へのヒアリングに基づき、特に孤立しがちな対象群について、当事者の困難の実態把握および支援方法についての質的研究を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症により、調査の実施が困難となったため、次年度以降に行うものとした。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

年度前半は、研究代表者が勤務先を異動し、学部設置初年度の業務等により、本研究に十分な時間を確保できなかったこと、また、調査フィールドの開拓に時間を要したことにより遅れが生じた。年度後半に複数の調査を実施する計画を立案したが、新型コロナウィルス感染症の発生により、調査を予定通り進行できず、さらなる遅れが生じた。

Strategy for Future Research Activity

新型コロナウィルス感染症および社会状況に応じて、いつでも第１段階の調査（調査対象者数が予定人数を満たしていないことによる追加調査）・第２段階の調査研究（特定の対象集団についての質的研究）を再開実施できるように準備を進める。第１段階の質問紙調査については、既に回収した調査票について、集計・解析を進め、2020年度後半には学会発表ができるように準備を行う。
しかしながら、感染症の国内外での蔓延状況や社会状況、国・都道府県の対策によっては、第１段階・第２段階の調査や学会発表を計画通りに遂行できない可能性も考えられる。

Causes of Carryover

研究代表者の勤務先の異動に伴い、研究の遂行が遅れたこと、さらに、新型コロナウィルス感染症の発生に伴い、調査を実施することができなくなったことから、旅費や学会発表などに係る経費の支出が次年度以降に持ち越された。また、調査に必要な物品も、新型コロナウィルス感染症発症の影響で入手困難となり、購入できなくなったことから、次年度以降に持ち越された。
物品は入手可能となり次第購入する予定である。また、研究調査は新型コロナウィルス感染症の終息や社会状況等の影響を受け、具体的な実施時期の計画を現段階では立案できないが、再開できる状況になり次第調査研究を進める。これにより、旅費の支出が発生する見込みである。調査のデータ入力等の作業を進めており、人件費・謝金の支出を見込んでいる。さらに、調査結果の発表を国内外の学会で行うことにより、旅費・その他（学会参加費等）の支出が見込まれる。