2019 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における姿勢運動制御機構の発達に関する基礎的研究
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18K17676
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
宮城島 沙織 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40781274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 早産児 / 低出生体重児 / 姿勢制御 / 歩行 / 片脚立位 / 発達 / 幼児期 / 運動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児期の姿勢運動制御の発達については客観的な指標を用い検討された報告は非常に限られている.本研究では基礎的データの蓄積,すなわち定型発達児における歩行,片脚立位の姿勢運動制御の発達変化を明らかにすることを目的としている. 早産で出生した児は歩行のふらつきやバランス能力低下を指摘される発達性協調運動障害を呈し,理学療法の対象になることが多い。早産児の発達経過の特徴を捉えることは非常に重要と考えている.そこで,早産児と定型発達児を比較することで,早産児の姿勢運動制御の発達上の問題を明確化することを目指している. 今年度は定型発達児および早産児を対象にデータの収集を継続した.3-10歳の定型発達児10例,早産児3例を対象に3次元動作解析システムと床反力計を用い,歩行と片脚立位動作を記録,計測した.加えて,昨年度分含む,データの解析を進めた. 早産児において歩行時にふらつく,まっすぐ歩けない,といった相談が比較的多く聞かれるが,今まで歩行時の安定性や蛇行性の発達的変化については十分に検討されておらず,実際にどのように発達経過しているのが正常なのかという点に関しては根拠をもって解釈することが困難であった.そこで,安定性と蛇行性を検討することとして,安定性については倒立振子モデルに基づく動的なバランス指標である推定質量中心位置 (XCOM: extrapolated center of mass) を用い,検討した.また,蛇行を定量化するための指標を考案し,安定性との関連を検討することを試みた.その結果,低年齢ほど蛇行した歩行であることが示された.さらに,安定性と蛇行性の指標とで高い相関を示した.つまり,体重心の制御能力の発達が蛇行性の軽減に重要な要因であることが示唆される. 次年度においては,早産児のデータ測定を加え,データの解析,2群間の比較を進めるとともに,成果の公表を積極的に進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年12月から令和1年10月まで産休および育休で研究活動が停止していたために進捗状況はやや遅れてしまった. また,今年度より足部の形態の測定が追加されたが,その後被験者が十分に集まっておらず,データ計測が十分に行えていない.特に早産児では被験者が集まりにくく,現時点で8例にとどまっている.統計学的に検定するには症例数が不足しており,今後も症例数を増やすことが必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
目標としている姿勢運動制御の発達的変化に関する定型発達児における基礎的データの構築に関しては,着実にデータ測定を重ねたことで傾向を明らかにするに至っている.令和2年度は不足している早産児のデータ測定を積極的に進める.早産児のデータが増えてきた段階で定型発達児との比較を行い,早産児の姿勢運動制御の特徴を明らかにし,発達上の問題を明確化していきたい.
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Causes of Carryover |
今年度は学会などで成果報告をするに至らなかったため,差額が生じた.次年度以降に成果報告を行うための学会発表の移動の旅費で使用する予定とする.
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Research Products
(1 results)