2021 Fiscal Year Research-status Report
前庭機能の脳内情報処理解明とニューロリハビリテーションの開発
Project/Area Number |
18K17684
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡 真一郎 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 助教 (30637880)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 立位姿勢制御 / 経頭蓋直流電流 / 経頭蓋交流電流 / 視運動刺激 / ニューロリハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,立位姿勢制御における頭頂葉の脳内情報処理機構を解明し,立位姿勢制御を改善するニューロリハビリテーションを開発することである。 これまで,頭頂部脳機能と立位姿勢制御の連関機構について,視覚,体性感覚および前庭覚の寄与の違いにより左右および両側頭頂葉の振動現象の周波数により異なっていることを明らかにした。これらの研究成果から,ヘッドマウントディスプレイによる完全没入型の視運動刺激を用いて,頭頂葉を賦活して立位姿勢制御を改善するニューロリハビリテーションを開発した。これらの研究成果は,現在英文誌に投稿している。 しかしながら,左右頭頂葉は半球間抑制作用を有しているが,一側頭頂部の機能と立位姿勢制御の関係のみでは明らかにできていないという課題が残った。そこで,2021年度は,左右頭頂部の連関機構と立位姿勢制御の関係を検証するため,両側頭頂部に対するtDCSを用いて刺激前後の身体動揺の変化を検討した。その結果,右頭頂部が賦活され,左頭頂部が抑制される条件では,視覚と体性感覚の協調処理が賦活され,開閉眼での身体動揺が減少したが,左頭頂部が賦活され,右頭頂部が抑制される条件では,前庭覚で立位姿勢を制御する閉眼のフォームラバー条件で身体動揺が減少する傾向を示す程度に留まった。これらの成果は,左右頭頂葉の振動現象を活用する刺激を選択することが,立位姿勢制御のニューロリハビリテーション開発の重要性を示すものである。 新型コロナウイルスの感染拡大により研究の実施期間が制限を受けたため,実験予定が大幅に遅延した。これらの成果は,2022年度に関連学会で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一側頭頂部に対するtDCSにおいて一側頭頂部の脳内情報処理の特性が明らかになった。そこで,さらに頭頂葉の脳内情報処理を詳細に検討するため両側頭頂部に対するtACSを行い,立位姿勢制御における頭頂部の振動特性との関係を明らかにし,視運動刺激を用いたニューロリハビリテーションの開発を行った。しかしながら,機能の異なる両側頭頂部の連関機構が立位姿勢制御に及ぼす影響を解明するため,追加実験が必要となった。また,COVID19の感染拡大の影響を受けてさらなる研究の遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID19の感染拡大状況に合わせて追加実験を行ったことで,実験はすべて終了した。現在は,追加実験で収集したデータの解析作業を進めている。 2022年度は,追加実験の研究成果を関連学会である臨床神経性理学会,日本基礎理学療法学会で発表する予定である。 また,これまでの研究成果を論文に投稿する準備を進めており,1本は英文校正作業が終了したため投稿予定である。2022年度には2本の論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により実験が遅延したため,次年度使用額が生じた。今年度は,研究成果の論文を投稿するために使用する。
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