2019 Fiscal Year Research-status Report
荷重センサーを用いた新しいバランス練習アシストの有効性と作用機序の検討
Project/Area Number |
18K17694
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
角田 哲也 藤田医科大学, 医学部, 助教 (80795609)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リハビリテーション医学 / リハビリテーションロボット / 転倒予防 / バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,より効果の高いバランス練習を提供するため,トヨタ自動車株式会社と共同でバランス練習アシスト(BEAR)の開発を進めてきた.BEARには, 3種類のバランス練習用ゲームがあり,モニタを見ながら立ち乗り型ロボットを操作して,楽しみながらバランス練習が実施可能である.これまでに,維持期の片麻痺者や虚弱高齢者において,バランス能力改善に有効だったとする報告がある.我々は,BEARの有効性を更に高めるため,幾つかの改良を加えた.具体的には,足部に荷重センサを搭載して,より直感的にロボットの操作を可能としたり,運動負荷を高めるようゲーム内容を改良したりした.本研究は,新しいBEARの効果を検証することを目的としている. 2018年度は,脈拍数の変化量を用いて運動負荷を比較する予備的試験を進め,新しいBEAR練習が従来練習より運動負荷が大きい可能性が示唆された. 2019年度は,亜急性期(発症から2週間以上)の脳卒中片麻痺患者に対して,新しいBEAR練習と従来練習を比較した無作為化並行群間比較試験を開始した.また新しいBEARの作用機序解明のため,慣性センサ式の三次元動作解析装置Xsensを用いて,健常者にて各ゲームにおけるレベルに応じた関節運動の変化を解析する検討を開始した.健常者2名で行った予備的検討では,各ゲームともにレベルに応じて関節総移動量が増加することが確認できた.また,練習に習熟した者の方が股関節運動に対する足関節運動の割合が高い傾向にあり,運動戦略の相違を分析できる可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は,亜急性期の脳卒中片麻痺患者に対して,新しいBEAR練習と従来練習を比較した無作為化並行群間比較試験を開始した.現在までにBEAR群・従来群合わせて31名の介入が終了した.新型コロナウイルス感染の影響で予定よりはやや遅れているが,2020年度に残り29名の介入を行う予定である. 一方,新しいBEARの作用機序解明のため,慣性センサ式の三次元動作解析装置Xsensを用いて健常者にて各ゲームにおけるレベルに応じた関節運動の変化を解析する検討を開始し,現状健常者2名での予備的検討を行った.当初はKinemaを使う予定だったが,より簡便な手法であるXsensに切り替えることとしたため,解析手法の確立に時間がかかった.今後は,習熟度が違う被験者における戦略の相違や,同一被験者が習熟していく過程における戦略の変化について,症例数を増やして検討を行う予定である. 以上のように,亜急性期での無作為化並行群間比較試験を開始し,介入が進んでいる点では順調だが,新しいBEARの作用機序解明に関しては十分に進んだとは言えないため,「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
新しいBEARの有効性を示すための実証試験を推進する.引き続き亜急性期脳卒中片麻痺患者にて無作為化並行群間比較試験を行い,2020年度中に残り29名の介入を終了し,研究成果を発表予定である. 健常者に対しても引き続き新しいBEARを用いたバランス練習を行い,各ゲームにおけるレベルに応じた関節運動の変化を解析していく.習熟度が違う被験者における戦略の相違や,同一の被験者が習熟していく過程における戦略の変化について検討を行い,研究成果を発表する予定である.
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Causes of Carryover |
(理由)研究内容の一部変更に伴い,購入予定内容を変更し,消耗品購入に加え,バランス評価に必要なクッション等の購入に充てた. (使用計画)消耗品購入に充てる予定である.
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