2018 Fiscal Year Research-status Report
運動器血管障害における終末糖化産物の役割解明と運動による新規治療メカニズムの探索
Project/Area Number |
18K17697
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
田中 雅侑 大阪人間科学大学, 人間科学部, 助教 (10780497)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 血管障害 / 運動 / 終末糖化産物 / 毛細血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,1)高終末糖化産物(AGEs)含有食の摂取が骨格筋の毛細血管構造や血管新生シグナルに与える影響を検証すること,及び2)高AGEs含有食の摂取下における継続的な運動が骨格筋毛細血管退行に及ぼす予防効果の新たなメカニズムを探索することの2点である.2018年度は高AGEs含有食の摂取が骨格筋の毛細血管構造や血管新生シグナルに与える影響を検証することを目的に,高AGEs含有食の作製と動物モデルの作製を試みた.先行研究をもとに実験動物用飼料を加熱し,終末糖化産物を多く含んだ飼料の作製方法を確立した.この飼料を実験動物に長期間摂取させることが可能か検証を継続しており,定期的に体重,摂餌量,飲水量,血液データなどをモニターしている.また,高AGEs含有食摂取動物のうち一部の動物から筋組織を採取し,毛細血管構造の組織学的解析,血管新生因子及び血管新生抑制因子のタンパク発現解析,遺伝子発現解析を行い,終末糖化産物が骨格筋毛細血管に与える影響についてデータの蓄積を進めている.高AGEs含有食の摂取により摂餌量の変化が見られたため,解析に用いる筋サンプルは摂餌量の変化の影響を受けやすい速筋線維で構成される筋(足底筋,長趾伸筋)と摂餌量の変化の影響を受けにくい遅筋線維で構成される筋(ヒラメ筋)を対象とした.今後は現在検証を進めているモデル動物を用いて,持久力やインスリン感受性などに関する評価も行う予定であり,高AGEs含有食の摂取がパフォーマンスや筋の代謝能に与える影響も検証することを予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年計画で実施される予定で,2018年度で1年目が終了した.2018年度は高AGEs含有食,及びそれを長期間摂取した動物モデルの作製方法を確立でき,基礎データを蓄積した.今後,この動物モデルを用いて終末糖化産物が筋毛細血管に与える影響や運動による効果を検証することが可能となったため,当初の予定通り進捗していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
高AGEs含有食を長期間摂取した動物の骨格筋を採取し,筋毛細血管の形態的特性を明らかにするとともに,血管新生因子および血管新生抑制因子の発現量をリアルタイムPCR法やウェスタンブロッティング法で明らかにする.2019年度からは自発運動による筋毛細血管への効果も検証するため,高AGEs食を摂取させた実験動物を回転ケージで飼育し,長期的に運動を実施させることを計画している.
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに使用したが,当該年度の動物の使用匹数や飼料の消費量が少なくなったために残額が生じた.残額は次年度以降の動物購入費および飼料の購入費として使用する予定である.
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