2019 Fiscal Year Research-status Report
運動器血管障害における終末糖化産物の役割解明と運動による新規治療メカニズムの探索
Project/Area Number |
18K17697
|
Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
田中 雅侑 大阪人間科学大学, 人間科学部, 助教 (10780497)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 骨格筋 / 血管障害 / 運動 / 終末糖化産物 / 毛細血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,血管障害の促進因子である糖化ストレスを引き起こす目的で,終末糖化産物(AGEs)を多く含んだ飼料を長期間摂取させたモデル動物を作製し,高AGEs含有食の摂取が筋毛細血管構造を含めた骨格筋の形態学的・生化学的特性に与える影響を検証した.高AGEs含有食摂取動物の骨格筋では,速筋,遅筋ともに筋重量や筋線維横断面積の減少は認められなかったが,筋毛細血管数や骨格筋酸化能が低下する傾向が認められた.また,高AGEs含有食摂取動物に対する運動介入の効果も検証した.当初,運動介入を行う手段として,回転かご付きのケージを用いる予定としていたが,予備実験の結果,個体間の運動量に差が認められたため,走行運動量を統一すべく,動物用トレッドミルを用いた強制走行運動介入に変更した.長期間にわたり高AGEs含有食を摂取した動物に持久走行運動介入(15~25 m/min,60分間,週5回,4週間)を実施した結果,運動介入をしていない動物に比べて持久走行可能時間が延伸し運動耐容能の向上が認められた.これらの動物からサンプルの採取は完了しており,今後,血液サンプルや骨格筋サンプルを用いた組織学的・分子生物学的解析を行う予定である.今年度の実験で使用した固形飼料の加熱により作製した高AGEs含有食を摂取させた糖化ストレス負荷モデル動物では飼料摂餌量の減少が認められたため,摂餌量の変化を改善すべく代替の糖化ストレス負荷モデルとしてAGEs前駆体であるメチルグリオキサールを0.1~0.5%の濃度で含む飲料水を長期間飲水摂取させた動物モデルを作製し,飼育期間中の体重・摂餌量に関するデータ収集,及び血液・筋サンプルの採集までを完了している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は3年計画で実施される予定で,2019年度で2年目が終了した.動物に対する運動介入方法について,当初は回転ケージを使用した運動介入を予定していたが,予備検討の結果,個体間の運動量に大きな差が生じたため,動物用トレッドミルを使用した強制運動介入へと変更した.このため運動介入を行った動物の血液・骨格筋サンプルの解析が予定通りに完了しておらず,3年間の研究計画においてやや遅れが生じている.
|
Strategy for Future Research Activity |
高AGEs含有食を摂取させた動物に対する走行運動介入の効果を得られた血液・骨格筋サンプルから明らかにする.また,今年度作製したメチルグリオキサールを飲水投与したモデル動物から得られた骨格筋サンプルを用いて,糖化ストレスが筋毛細血管や骨格筋に与える影響を組織学的,分子生物学的に明らかにし,本モデルを用いた運動介入効果も検証予定である.さらに糖化ストレス負荷モデル動物に対する運動介入方法として,運動の様式や強度などの条件についても検討し,より効果的な運動方法を検証する予定である.
|
Research Products
(5 results)