2020 Fiscal Year Research-status Report
運動器血管障害における終末糖化産物の役割解明と運動による新規治療メカニズムの探索
Project/Area Number |
18K17697
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Research Institution | Okayama Healthcare Professional University |
Principal Investigator |
田中 雅侑 岡山医療専門職大学, 健康科学部 理学療法学科, 助教 (10780497)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 血管障害 / 運動 / 終末糖化産物 / 毛細血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)高終末糖化産物(AGEs)含有食の摂取が骨格筋の毛細血管構造や血管新生シグナルに与える影響を検証すること、及び2)高AGEs含有食の摂取下における継続的な運動が骨格筋毛細血管退行に及ぼす予防効果の新たなメカニズムを探索することの2点である。これまでの研究で、AGEsを多く含んだ飼料を長期摂取したモデル動物の作製と試料採取、AGEs前駆体であるメチルグリオキサールを長期摂取したモデル動物の作製と試料採取、ならびにAGEs含有食の長期摂取とトレッドミル走行運動による運動介入を行った動物の作製と試料採取が完了している。2020年度は、AGEs含有食、およびAGEs前駆体の長期摂取により、筋毛細血管数や骨格筋酸化能が低下する傾向が認められたため、この現象を裏付ける生化学的解析を推進した。また、AGEs含有食を摂取した動物に対する走行運動介入が運動耐容能の増加、および筋毛細血管や骨格筋酸化能の増加を促す結果がみられたため、これらの現象を裏付ける生化学的解析を推進した。具体的には、骨格筋における血管新生因子、血管新生抑制因子、AGEs/RAGE系関連因子、酸化ストレス関連因子のタンパク発現量や、血液における抗糖化因子などの測定を試み、今年度中の解析完了を目指した。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大並びに緊急事態宣言の発令などにより、実験施設の入校や使用に制限がかかることが多く、当初予定していた解析の完了にはいたらなかった。実験施設の使用ができない時期は、これまで得られた画像データの解析、組織学的・生化学的解析結果の整理、今後の解析項目の確認と方針決定、最新の文献調査等を進めた。2020年度中に当初の予定を完了することができなかったため、本研究課題の期間を2021年度末まで延長申請し、本研究活動を継続することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は当初3年計画で2020年度に完了する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大並びに緊急事態宣言の発令などにより、実験施設の入校や使用が制限されたため、血液・筋サンプルの解析を予定通り進めることができなかった。また、2020年度から研究代表者の所属研究機関が異動したことで、所属機関における研究環境の整備に時間を要したことも影響し、解析作業の遅れを取り戻すことができなかった。本研究課題の研究期間を2021年度末まで延長し、当初予定していた血液・筋サンプルの解析を完了させ、糖化ストレスによる血管障害と運動による介入効果を明らかにしていく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の延長申請を行い、2021年度も継続して血液・筋サンプルの解析を行う。高AGEs含有食を摂取させ、トレッドミル走行による運動介入を行った動物では、運動を行っていない動物に比べて、運動耐容能の増加がみられたため、この現象を裏付ける骨格筋の組織学的・生化学的知見の収集を継続する。さらに、高AGEs含有食摂取による糖化ストレスマーカー、酸化ストレスマーカーの変動と、それに対する運動介入効果を明らかにする。また、AGEs前駆体メチルグリオキサールの摂取による糖化ストレス負荷モデルから得られたサンプルについても、解析を推進する予定である。これらの解析結果を統合し、糖化から引き起こされる骨格筋の微小血管障害と、運動による治療効果に関する情報を取りまとめ、成果の公表を行う計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大並びに緊急事態宣言の発令などにより、実験施設の入校や使用が制限されたため、血液・筋サンプルの解析を予定通り進めることができなかった。感染状況が落ち着いたタイミングで解析を行ったが、実験を実施できた機会は多くなかった。そのため、今年度の実験で使用した物品は、これまでの研究活動の中で購入した試薬・抗体・消耗品類のみで済み、今年度分の助成金を使用しなかったため次年度使用額が発生した。次年度は持ち越した助成金を使用して、当初の計画で予定していた解析項目の完了、ならびに研究成果の公表を実施し、本研究計画の完遂を目指す。持ち越した助成金は、当初予定していた生化学的解析に使用する試薬・抗体・消耗品類の購入経費、外部研究機関における解析のための交通旅費、研究成果報告のための学会発表や論文執筆・掲載に係る経費として使用する計画である。
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