2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the role of advanced glycation end products in musculoskeletal vascular disease and exploration of novel therapeutic mechanisms induced by exercise
Project/Area Number |
18K17697
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Research Institution | Okayama Healthcare Professional University |
Principal Investigator |
田中 雅侑 岡山医療専門職大学, 健康科学部 理学療法学科, 助教 (10780497)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 血管障害 / 運動 / 終末糖化産物 / 毛細血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1) 糖化ストレスが骨格筋の毛細血管網や血管新生シグナルに与える影響、2) 糖化ストレスによる筋毛細血管障害に対する運動介入の効果のメカニズムを解明することである。糖化ストレス負荷モデル動物の作製には、加熱処理し終末糖化産物(AGEs)含有量を増やした飼料の摂取、あるいはAGEs前駆体であるメチルグリオキサール(MGO)の飲水摂取による方法を使用した。その結果、MGO負荷により特に速筋の筋線維横断面積の減少や筋毛細血管の退行的変化などの組織学的変化が観察された。また、筋量や血管新生を制御するタンパク質の発現量を検証した結果、筋タンパク質合成シグナルの活性化低下や血管新生因子の発現量の低下が認められた。 さらに、本研究では糖化ストレスによる血管退行への運動介入の効果とその作用メカニズムを検証した。トレッドミルによる走行運動や骨格筋電気刺激を使用した運動介入を行ったが、運動介入は糖化ストレス負荷による毛細血管退行の軽減効果を示した一方で、運動に伴う血管新生因子の発現量増加反応が糖化ストレスにより低下した。また、糖化ストレス負荷は運動に伴う筋タンパク質合成反応を低下させることも明らかになった。これらの結果から、糖化ストレスは運動に伴う血管新生・筋肥大反応を減弱させる作用があることが示唆された。運動によって活性酸素種(ROS)が産生されるが、適正なレベルのROS産生は筋肥大や血管新生の促進に寄与する一方、過剰なROS産生はDNA損傷や組織・細胞の障害につながると考えられている。本研究では、糖化ストレス負荷によって運動に伴うROS産生がさらに増加していたことから、ROS産生が過剰なレベルになり筋や血管の適応に影響を及ぼした可能性が示唆された。 今後の課題としては、糖化ストレスによる血管新生や筋肥大反応の減弱メカニズムをより詳しく解明することが必要であると考えられる。
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